岡本かの子は、晩年に仏教に傾倒し文章を残しています。彼女の仏教人生読本という本に引用されている和歌を紹介します。歌人の目から見た秀作ですので、和歌の勉強に良いと思います。その三です。 和歌の現代語訳と解釈9. 古歌* 年ごとに咲くや吉野の桜花 樹を割りて見よ花の在所ありかを* 現代語訳: 毎年咲く吉野の桜の花よ。その木を割って見てごらん、花の咲く場所がどこにあるのかを。* 解釈: 美しい桜の花は毎年咲くけれど、その美しさの本質はどこにあるのか、という問いかけの歌です。たとえ木を割ってみても、具体的な「花の在所」を見つけることはできません。美しさや生命の本質を知るのは難しいことを示しています。仏…