映画女優。1931年東京生まれ。
東宝第一期のニューフェイス出身。旧侯爵家の姫君が、映画入りというので、大変なスキャンダルになったという。デビューは、47年の「四つの恋の物語」清潔な美貌と、華奢な身体で人気は上昇し、50年の「また逢う日まで」で、その人気を決定。
その後51年、東宝を退社して大映入社。ここで成瀬巳喜男の名作「あに・いもうと」と、田中絹代の第1回監督作品「恋文」に出演。冷ややかな美しさと、堅実な演技力で印象深い姿を残した。
夫は平田昭彦で、おしどり夫婦ぶりは人も羨むほどであった。
★★★☆☆ あらすじ 京都で女手一つで遊郭を営む女は、東京の大学にやるも恋に破れ、自殺未遂を起こした娘を連れ帰ってくる。 感想 若い医師に思いを寄せる遊郭の女将である主人公と、それを知らず同じように医師に惹かれてしまう家業を疎ましく思う娘の愛憎入りまじった関係が描かれる。ただ最初は田中絹代演じる主人公がかなり年配に見えるので、若い医師との関係を見定めるのが難しかった。 それらしい雰囲気を漂わせてはいるのだが、恋愛関係が成立する歳の差なのか?と判断しかねて落ち着かない。だが演じていた役者の当時の実年齢を調べると、主人公演じる田中絹代が四十代半ばで娘役の久我美子は二十代半ば、そして医師役の大谷友右…
★★★★☆ あらすじ 人畜無害の税務署署員は、人が良すぎるゆえに不正をしてしまうが、開き直って世の悪事を暴こうとする。 感想 冒頭は、「日本新名所」として戦後日本で見られるようになった光景を小ネタを挟んで紹介していく。このまま最後までこんな調子かと少し不安になったが、そんな事はなく、その後本編が始まり安心した。そして、この冒頭の短いシーンのつなぎ合わせが、本編の伏線になっていて上手い構成だ。 しかし、取り扱っているテーマが政治の腐敗や貧困、人口増、原爆と、かなり社会派だ。それをかなりきつめの笑いを取り入れて描いていてちょっと感心してしまった。今でも、なのか、今また、なのか分からないが、政治の腐…
【『冬の雲』(2)】 飯島「(『冬の雲』〈1971〉の)1回目の本読みが終わった後の稽古場で、木下(木下惠介)さんが「飯島くん、相談がある。あの人、どうしても違うんだけど」って。それが早川保さん。お詫びして降りていただいて、その代わり別の番組に出ていただいたけど。お酒飲むと「木下惠介のバカヤロー」って。早川さんのタイトル見ると思い出すね。
1955年小林正樹監督作品。最近やっとポツリポツリと小林正樹監督のものをみているけれど、かなり好きかも。これは戦後10年後の若者たちと、親世代、祖父母世代の物語。その葛藤やら相手を思う心やらは今でも変わらない。また中学時代の友人が社会に出てそれぞれ思うところあって・・という「リアリティ・バイツ」な感じも永遠のテーマだ。 久我美子とおばあさんが営んでいる花屋さんが、起点になって出てくるのだけど、戦後、まだまだ若い犠牲者も身近にいた人が多い中、花の命や次世代での再生、みたいな話も伴奏のように描かれていて堪能した。 佐田啓二がドラマー役で、「嵐を呼ぶ男」みたいなシーンがあるのだけど、こっちのほうが早…
溝口健二監督作。田中絹代、久我美子の出演。 ただのメロドラマと思わせて、やはりそれだけでは終わらない。男に利用される女、女の生涯を扱ったら一流の溝口の手腕だ。 北白川に家をみにゆく描写があるが、そこは大文字山を望む、本当の北白川でのロケ。女将が座す疎水の側道、哲学の道にあるベンチは、今もそこにあろうか?
★★☆☆☆ あらすじ 1936年に起きた「二・二六事件」を描く。 二・二六事件 - Wikipedia 感想 映画開始と共に一気に226事件に突入していく。彼らが次々と要人たちを襲撃する様子は凄まじい。しかし、こういう人たちは何かと天皇の名を持ち出す。直接本人に意思を確認したわけでもないのに、勝手に代弁したつもりになっているのは相当ヤバい。まるで自分の意思ではないように振る舞うところもズルい。 要人たちが殺されていく中で、その家族が必死に将校たちにすがり付く姿が印象的だ。確かに自分の家族が殺されそうになっているのに、黙って見過ごすことなど出来ないだろう。 (adsbygoogle = wind…
●プライムビデオで『雪夫人絵図』(溝口健二)。溝口の映画は基本的に、極めて通俗的で典型的な悲劇が、映画という媒体を得ることでまったく異なる表現の質を獲得してしまうという凄さだと思うが、その「異なる質」を可能にするのが空間の表現で、そしその空間表現の卓越性は、溝口が常に「その場で働いている権力関係」にかんして敏感であり、というか、ほとんどそれだけに関心を集中させているということと密接に繋がっているのだろう。 (木暮実千代がどうしても柳永二郎を拒否し切れない理由には、彼女の心の弱さと同じくらいに、この映画に現れる建築物に「鍵をかけて閉じこもることのできる個室」がないということがあるだろう。) おそ…
★★★★☆ あらすじ 死んだ妻との思い出を振り返る写真家の男。 感想 夫婦の想い出が綴られる映画だ。つかみどころのない部分がある妻と、それに翻弄されて時に苛立ち、時に戸惑う主人公の様子が描かれている。 そんな二人の関係は、他人から見れば面倒くさいなと思ってしまわなくもないのだが、主人公にとっては分かり合えないミステリアスな部分があることが重要だったのだろう。おそらく主人公は何でも分かり合える同志のような関係は求めていなくて、女神のように崇めることが出来る対象を欲していた。芸術家らしい感覚と言えるかもしれない。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).p…
1月30日のBS映画🎥 18時20分~ 声もなく('20 韓) ≪WOWOWプライム≫ 【監督】ホン・ウィジョン 【出演】ユ・アイン、ユ・ジェミョン、イ・ガウン 18時30分~ ジェイソン・ボーン('16 米)[吹替] ≪BSテレ東≫ 【監督】ポール・グリーングラス 【吹替】三木眞一郎、甲斐田裕子、大塚明夫 19時15分~ ゼロの焦点('61) ≪WOWOWシネマ≫ 【監督】野村芳太郎 【出演】久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子 20時~ チ・ン・ピ・ラ('84) ≪WOWOWプライム≫ 【監督】川島透 【出演】柴田恭兵、ジョニー大倉、玉井碧 21時~ 幸せへのまわり道('19 米) ≪NHK-…
1月21日誕生日の全国35万人の皆さんおめでとうございます。 (拙句)大寒を過ぎて雨さへあたたかき 雅舟 【花】オンシジウム(ラン科) 【花言葉】 可憐 短歌 ひらひらと飛び立つものの気配ありオンシジウムよ夜明けの窓辺 鳥海昭子 黄色いチョウたちが群れ飛んでいるようなかわいいランです。 夜中におもちゃが動き出すように、夜明けにはオンシジウムが ひらひらと飛んでいくような気がするのです。 【季語】大寒 雪 吹雪 【俳句】大寒の一戸もかくれなき故郷 飯田龍太 雪はげし抱かれて息のつまりしこと 橋本多佳子 たましひの繭となるまで吹雪きけり 斎藤 玄 【万葉歌】大和には 群山あれど とりよろふ 天の香…
小説というものには作者の生まれ育った地域の影響が少なからず出ているように思います。そこで北海道に住んだことのある作家を一覧にしてみました。受賞歴や映像化、漫画家された馴染みのある作品を中心に紹介したいと思います。(50音順) ア行 朝倉 かすみ(あさくら かすみ) 主な受賞歴 おすすめ作品 東 直己(あづま なおみ) 主な受賞歴 映画化作品 おすすめ作品 安部公房 (あべ こうぼう) 主な受賞歴 映画化作品 おすすめ作品 荒巻 義雄(あらまき よしお) 主な受賞歴 漫画化作品 おすすめ作品 有島武郎(ありしま たけお) 映画化作品 おすすめ作品 池澤 夏樹(いけざわ なつき) 主な受賞歴 おす…
にごりえ【昭和28年|1953年】〔出演俳優 男優:芥川比呂志 女優:丹阿弥谷津子・久我美子・淡島千景 監督:今井正〕《レトロ・ふるい・なつかしい名作映画》 - YouTube にごりえ【昭和28年|1953年】〔出演俳優 男優:芥川比呂志 女優:丹阿弥谷津子・久我美子・淡島千景 監督:今井正〕《レトロ・ふるい・なつかしい名作映画》 - YouTube 樋口一葉の短編小説『十三夜』『大つごもり』『にごりえ』の3編を原作とするオムニバス映画。文学座の俳優が総出演している。第27回キネマ旬報ベスト・テン第1位。昭和28年度芸術祭参加作品。 良質な音質と映像を楽しむために、是非「ようつべ」でご覧くだ…
脚本も木下惠介。わかってはいたけれど、やっぱり、傑作。木下惠介の才能って、監督よりも脚本にあるような気がした。まあ、門下に山田太一がいるわけで……。何というか、これぞ、「ドラマ」という感じなのである。 配役も見事。もうありとあらゆる意味でみんながハマリ役。まさに「女の園」。高峰三枝子こえーよ。ハマりすぎだよ。そして良家の子女である久我美子。まんまじゃねーか。うじうじ系の幸薄い高峰秀子。やっぱりこんな役か。活発で反抗的な岸惠子。もう地ですかあなた。 正直、これだけの役者がそろっていたら、少しでも下手だったらさぞかし悲惨なことになるであろう、と観る前は思っていたけど、なかなかどうして、それなりに力…
島田洋一 長年の不摂生がたたって昨年末、緊急入院したが、適切な医療のおかげで無事生還した。 庶民には医療などない北朝鮮なら、今頃墓の中だろう(墓すらないかも知れない)。 早く拉致被害者を取り戻さねばならない。 小泉訪朝直後ならまだしも20年も経ってから良くもこんなことが言えたもんです(呆)。 なお、以前も拙ブログの別記事で書きましたが、早期発見だったので治療できましたが、以下の記事で分かるように、曽我ひとみ氏は帰国後に肺がんが発見されています。 朝日新聞「曽我ひとみさん、肺がんで手術 経過は良好」2003.3.18 昨年10月25日、新潟県立がんセンターで受けた健康診断の際、曽我さんの右肺中葉…
監督 小津安二郎 脚本 野田高梧 小津安二郎 出演 佐分利信 田中絹代 有馬稲子 佐田啓二 山本富士子 浪花千栄子 桑野みゆき 高橋貞二 久我美子 笠智衆 中村伸郎 北龍二 桜むつ子 いつのも小津安二郎、野田高梧。 大映の山本富士子が出演しているのでまだ五社協定も厳しくなかったのか? 当時の結婚について考察できる映画。親は娘に自分の良いと思った人と結婚して欲しいし、娘は自分の好きな人と一緒になりたい。 ちょっと解せないのは有馬稲子の父、佐分利信が有馬稲子と同じ会社にいる佐田啓二が気に食わない・・ところ。笠智衆の娘の久我美子がピアノ弾きの渡辺信雄との結婚に反対して娘が家をでて銀座のバーで働いてい…
引用元:amazon.co.jp 1959年の小津映画 都内の川沿い新興住宅地 小学生の男の子たちはみな大相撲に夢中 林家の長男実と弟の勇は、近所の家にお邪魔してはテレビを見せてもらうのが日課になっていた この兄弟の母親民子(三宅邦子)は、町内会の会計係として集めた婦人会の会費をお隣で組長をしている原口きく江宅のおばあちゃんに預けるも「そんな覚えはない」と言われちょっとした騒動になる 子どもたちはテレビを見るのに外出することを注意する母親に「だったらウチもテレビを買ってくれ」とせがむ あまりにしつこくせがんだせいで最後は父親の敬太朗(笠智衆)に「子供のクセにうるさい」、「黙ってろ」と叱られてし…
『アムステルダム』デヴィッド・O・ラッセルの映画は随分前に尊敬するHさんから「君はあんなごっこ遊び映画が見たいのか?」と詰問(というほどでもないが)されて以来すっかり遠のいてしまった。といいつつ『ハッカビーズ』や『世界にひとつのロマンティック』(最後にカーティスで踊るやつ)はかなり好きなのだが。今回はデ・ニーロが出てると知らず、彼の誕生日に見れたのはよかったかもしれない。ただ映画自体はたしかに「おおよそ実話」だけあって更に「ごっこ遊び」感は強く(僕はHさんではないのでわからないが、その悪い例が『ジョジョ・ラビット』で、良い例がウェス・アンダーソンになるかもしれない)、なかなかグダグダな印象にな…
田坂具隆監督の被爆体験から構想された作品ちらっと映画祭の様子も 今日の1日1映画は『長崎の歌は忘れじ』(1952年 日本)を鑑賞。 1945年8月。 新鋭のアメリカ人作曲家、ヘンリー・グレイ(アーリングトン・ロールマン)は、ハワイの日本人捕虜収容所で瀕死の日本兵から未完の楽譜を託され、その完成を約束する。 終戦後、日本兵の故郷である長崎に赴くヘンリーだったが、遺族の行方はようとして知れなかった。 そんなある日、ヘンリーが弾く例の未完曲を聴いたホテルマンの牧原桃子(久我美子)は、その曲が出征したまま帰らない義兄・佐伯道信の曲だと気づく。 桃子の姉、道信の妻である綾子(京マチ子)は長崎の原爆が原因…