先週ジブリパークへの旅行の行き帰り、新幹線のなかで読みはじめたドイツのノーベル賞作家、Heinrich Böll(1917 - 1985)の "The Lost Honor of Katharina Blum"(1974, 英訳1975)を数日前読了。諸般の事情で、レビューをでっち上げるのがきょうまでズレこんでしまった。なんとかがんばってみよう。 [☆☆☆★★★] 古くはオーウェル、近いところでエーコが警鐘を鳴らしたマスコミの偏向報道をいち早く本格的に扱った秀作。偏向というより、むしろ虚偽と曲解、臆測に充ち満ちた記事により、ひとりの女性カタリーナの名誉が回復不能なまでに毀損される。その事件が起…