前立腺に生じる悪性腫瘍。
50~60代から加齢とともに罹患者は増加する。成長はとても遅い。リンパ節や骨に転移しやすい。
加齢(それによるホルモンバランスの乱れ)、遺伝、食の欧米化、人種(黒色人種が最も罹りやすいといわれている)などが要因として挙げられている。
早期の前立腺癌に自覚症状はほとんどない。
腫瘍が大きくなって尿道や膀胱を圧迫したり、前立腺肥大症を併発したりすると、排尿困難、頻尿、残尿感などの症状がみられる。
さらに進行して尿道、膀胱、骨に浸潤すると、尿が出なくなる、血尿、腰の痛みなどの症状があらわれる。
前立腺癌の治療には、外科療法、放射線療法、ホルモン療法のほか、待機療法が用いられる。
待機療法とは特に治療をせずに経過を見守るということである。前立腺癌は成長がゆっくりであり、治療を必要としない種類も存在するためである。
ホルモン療法は、前立腺癌が男性ホルモンの影響受けて発生していると考えられるため行われる、前立腺癌の治療の中でも基本となるものである。精巣を除去する方法(去勢術)、注射によって男性ホルモンの作用を抑える方法(LH−RHアナログ)、抗アンドロゲン製剤の投与などがある。
また、初期の前立腺癌で転移が認められないものは手術療法で除去することができる。手術療法を行うと尿失禁や性機能障害を伴うことがある。放射線療法を併せて利用することはあるが、化学療法による効果はあまり期待できない。(参考→癌の外科療法、癌の放射線療法)
診療科:泌尿器科