だが、そのデータ収集も先週で終わり。今日はランチメニューに仕込みにあまり時間を割かれないため、早朝通常出勤の二時間前に店に来ることはないのだが、ただの提供ではと思い、店主はいつもの時刻に家を出て、いつものように厨房に立つ。 出窓、かすれた前任者の店名が透けたガラス、通り、時折の軽自動車と通行人に隠れて二人の人物がこちらを見つめ、電信柱のように埋め込まれた両足で立っていた。二人は見たところ、知らない人物。互いの距離は、おそらく存在は感じているだろう。これからピックアップされるのかも、同じ車両に。それぐらいしか予測は立たない、店主は、ピザの利用に思考を切り替える。 午前八時十二分を、ホールの時計が…