角島に渡って二日目の朝、十角形のホールに七人分の食器が並んでいた。その脇に、前の晩にはなかったものが置かれている。青い縁取りのプレートだ。厚紙に活字を押しただけの、なんということもない札に見える。 書かれているのは名前ではなかった。「第一の被害者」。「第二の被害者」。順に続いて、「探偵」。そして「殺人犯」。 島にいるのは大学のミステリ研究会の七人だけで、迎えの船が来るのは一週間後だ。用意できた人間は限られている。悪ふざけにしては手が込んでいるし、脅しにしては筋が通らない。誰かが笑い、誰かが笑わずに札を裏返す。合宿はまだ二日目で、この時点では紙は紙のままだ。だがその晩、札のうちの一枚が、ある部屋…