「おまえはずるい」 「おまえは卑怯だ」 こんなのは個人差だ。でもおれには後者の方がずっと鋭く胸に刺さる。卑怯者呼ばわりされるのは許し難い…いや、呼ぶのは相手の勝手だが、それをおれが受け入れるかどうかも自由だ。 おれは卑怯者なんかじゃない。ずるいが卑怯じゃない。 ずるさと卑怯さの違いは何か、実はおれにもはっきり分からない。考えてはみたが、はっきりしなかった。 ずるは、状況の中で意識的にそれを選択すること。「おれはこれを」と、皆にフェアではないかもしれないが、そのときその場において誰かの不利益を「まあそういうこともある…しょうがない」と目をつむって選ぶことだ。 卑怯はもっと…なんというか、底から浮…