2013年8月号掲載 毎日新聞郡山通信部長/藤原章生(当時) 最近、都路(みやこじ)という村によく行く。郡山から車で1時間半の小さな村だ。漢字の「都(みやこ)」に道路の「路(ろ)」と書く。福島県の浜通りから内陸に入った山あいにある。東京電力の福島第1原発を中心にした20km圏に当たる。原発直後は「警戒区域」となり、今は「避難解除準備区域」と呼ばれている。 茨城から福島を貫き宮城県まで、標高1000m弱の山が南北に連なる。その阿武隈高地の懐にある村で、その地の7割は常緑樹を主とする山林に覆われている。 都路と言っても、耳になじみのない人も多いだろう。第1原発がある双葉郡の大熊町(13年6月時点で…