今日から11月、靴紐を結び直す朝に 今日から11月。 朝の光は低く、少しだけ冷たくて、胸の奥がざわついていた。 新しい月の始まりに、なぜだか“何かを始めたくなる”――そんな朝だった。靴紐を結び直し、深呼吸をする。 それだけで、昨日までとは違う世界に足を踏み入れたような気がした。 変わり映えのしない街の景色も、今日は少しだけ意味を持って見えた。「ねぇ、くるみ」 君の目には、この季節はどう映っているのだろう。 誰かの優しさが少しだけ痛く響く日もある。 それでも、私は今日をもう一度、信じてみたいと思う。 希望の数だけ、失望もある。 けれど、胸の奥のどこかで小さく震える“何か”を無視できない。 それが…