「あの人みたいになれたらな」と呟きながら生きてきた。 格好いい人、頭のいい人、仕事のできる人、おしゃれな人、そう人たちに近づこうとうさぎなりにがんばるけれど、うまくいかない。猿真似ならぬうさぎ真似だ。 羨ましさは時に妬みに変わる。妬みを抱えると他人のせいにしたくなる。 「がんばってもうまくいかないのに、なんであの人は飄々としているんだ」 「うさぎがうまくいっていないのだから、あの人も失敗すればいいのに」 自分の失敗と他人の成功は無関係なのに、めちゃくちゃに結び付けて攻撃する。 「私」が生きる世界と、「あなた」が生きる世界は果たして同じ世界なのだろうか。 『暇と退屈の倫理学』の中に「人間はトカゲ…