一人になりたい時があったんです。 友達とつきあうのが嫌いだとか,別にそういうわけではありません。クラスメイトの顔を見ればいつものように授業の情報を交換したあと,昨日観た映画や読んだ漫画のことなど他愛ない話に花を咲かせるのが好きでした。体を動かしたい衝動が起こると,仲間を集めては草野球に興じたりもしました。夜は夜で悪友どうし誘い合わせ,安い居酒屋に駆け込むのが常でした。誰かのアパートに押しかけては一晩じゅう酒を酌み交わし,酔った勢いで深夜の国鉄の線路沿いを夜の底が白むまで歩き続けたこともありました。 けれども,どうしても一人になりたい時が,僕にはときどきあったんです。誰にも邪魔されず,視界の焦点…