「たしなむ酒が微醺をよしとするなら、呑むばあいは噛んでのむのがいい。水でも一気にのんではいけない。ゆっくりのむ。」(升田幸三) *** 升田幸三は「どんなに心のおけないひととのむときにも初心の気持でのむ。それが律義というものである」ともいっている。そのとおりだとおもったので、のこしておく。 いっぽうで、上林暁は「屈託していても、晩になればのもうとおもえば酒があるんだとおもいつくと、急に救われたような気持になる」といっている。そのように酒とつきあうことができるというのが、わたしには信じられない。それが酒豪といわれるひとであるから、よけいにわからない。 この10年、毎日がさがさと追われるような暮ら…