― エネルギー代謝・筋損傷・神経系からの専門的考察 ― フルマラソンにおける「30kmの壁」は経験則ではなく、生理学的必然性を持つ現象です。 本稿では、 エネルギー基質動態 筋損傷と神経筋疲労 中枢性疲労 ペース戦略と臨界速度理論 の観点から、失速の本質を整理します。 1. エネルギー代謝:なぜ30kmで枯れるのか? ■ 筋グリコーゲンの定量的理解 トレーニングを積んだランナーでも、 筋グリコーゲン貯蔵量:約400〜600g 肝グリコーゲン:約80〜120g 総エネルギー量はおよそ2,000〜2,500kcal。 マラソンレース強度(VO₂maxの75〜85%)では エネルギー供給の50〜80…