イギリス料理はまずいのか 小説『ユリシーズ』でに出てくる食事を読解するために、いろいろ参考になりそうな本を読んだのだが、イギリスの料理を論じると、必ずイギリス料理はまずいのか、まずくないのか、という話になる。おもしろいので、議論を抜き書きして並べてみる。 ①林望『イギリスはおいしい』(文春文庫1995年) 作家、エッセイスト林望氏のデビュー作『イギリスはおいしい』は、イギリス料理がいかにまずくて、いかにおいしいかについて一冊を費やした本といっていいい。冒頭で林氏はイギリスの食事がまずいことを認める。 イギリスの食事が、概してまずいことは世界の定評であって、さすがイギリスを愛すること人並以上の私…