源氏物語 各巻冒頭文 本日より(令和七年六月)、『源氏物語』五十四帖の巻々冒頭に記された文言を順にご紹介し、それぞれに私なりの小さな感想を添えてまいりたく存じます。おそらくすべてを整え終えるまでには、少なからぬ時を要することと存じますが、お気長にお付き合いいただけましたら幸いに存じます。 なお、引用する本文および現代語訳には、『日本古典文学全集』(小学館)ならびに『源氏物語』 玉上琢彌訳注(角川文庫)を拝借いたします。ただし、一部記号等につきましては、私の方で補正を施しております。 桐壺(きりつぼ) 巻名 「桐壺」という巻名は、主人公光源氏の御母堂にあたる「桐壺更衣」が住まわれていた御局の名に…