正岡子規が野球に熱中していたことは、よく知られている。かつては「野球」の訳語は子規によるものと誤解されてもいた。(子規は「野球(のぼーる)」と本名をもじって使っていた。ベースボールを「野球」と訳したのは中馬庚<ちゅうまんかなえ>だそうだ。) そんな子規のベースボールに関係した俳句や随筆などを集めている。けっして体が丈夫ではなかった子規であるが、ベースボールだけは夢中になっていた。ベースボールへの強い思いが感じられる。ベースボールの歌にはこんなものがある。 久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも若人のすなる遊びはさはにあれどベースボール如く者はあらじ 本当に子規はベースボール…