1956年の映画で白黒です。二つのよくある問題が綱のように太く編んであり、どうにもうまいことひとつの物語にするもんですね。みんなふつうの人なのに、名言がいくつもありました。 恋愛沙汰にフォーカスすれば下世話だし、倦怠期の夫婦の状態に視点を移せばあるあるだし、労働をテーマにしてみれば彼らの言いたいことは社畜か自営業かで揺れるよねという話。ぜんぶがうまく絡み合っている。 家に電話がない生活では夫が急に早く帰って来たり来なかったりして、ご飯を用意する側の妻はイライラするし、将来の夢のなさをひとりでモヤモヤ抱える夫もストレスが溜まる。 まるで砂糖に群がる蟻のように朝の蒲田駅へ向かうサラリーマンは軍隊の…