路地裏で出会った、獣のように獰猛で美しい男。やがて宥(ゆたか)がトレーナーを務めるジムに現われ、ボクサーとしての圧倒的な才能を垣間見せた勁(けい)は、「プロになりたい」とうそぶく。しかしそれは、未成年の彼がジムの寮に転がり込むための口実に過ぎなかった。「余計な口出しするなら、あんたの秘密をバラす」と脅し、宥の身体を要求する勁。しかしその瞳は欲望に曇ることなく、どこまでも澄んでいて…。ふたつの魂の邂逅と宿命の物語。 上・中・下巻、骨太の1冊! それぞれの巻に副題がついています。 上巻、「白い獣の、聞こえぬ声の、見えない温度の」 中巻、「赤い桎梏の、約束の場所の、臨んだ十字架の」 下巻、「薄紅めく…