そろそろ切らないと。 そう気付いたのは、出勤直前のことだ。友達からおすそ分けでもらったパイナップル、それもまるごとである。とげとげした葉までついている。パイナップルというと脳裏に浮かぶであろう、あのままの姿だ。もらったときは嬉しくて、早く食べてみたいと思っていたのに、いざ我に返るとどうやって切ればいいのか途方に暮れた。 缶詰か、すでにカットされたものしか買ったことがない。この分厚い皮はどうすればいいんだ。まずは切り方を調べないと、とか、もう少し熟すのを待ってから、とか思っているうちに一週間が経った。さすがにそろそろ頃合いだろう。甘酸っぱい南国の香りがうっすらと狭いキッチンに広がっている。 とは…