旅衣おもひたつより姨捨の月に心をかけて来にけり すみのぼる光ありやとをば捨の山口しるき月の夕かげ よそに見しみねも尾上もおしなべて月のなかなる姨捨のやま あきらけき御世の光もさしそへて今はなぐさむをばすての月 野路山路分こし露の袖の上に宿してあかぬもち月のかげ としふともおもひし山のかひありて今をば捨の月をこそ見れ ふる里にかはる野山もうきたびもわすれてむかふ更級の月 千曲川そこのさゞれもあらはれて月に数見る空のさやけさ すむ方になぐさめかねて更科や姨捨山の月をこそ見れ 月にいまなぐさめかねて都人しのびやすらん姨捨のやま 影たかく月こそかゝれ姨捨の麓の霧はたちものぼらで てる月に雲のいづこもあ…