銀行店舗のATMで現金を引き出したら、「新紙幣」が出てきた。 いわゆる渋沢栄一である。 そのデザインは、ユーロ紙幣を連想させた。 数字が大きく書かれて、認識しやすくなった一方、軽い感じが否めない。 私は次の目的地のドラッグストアに向かった。 炎天下。 陽射しが鬼のように熱い。 交差点で車椅子の人を見た。 その人は、信号待ちのため、ピタッと止まった。 その瞬間、ドサッと、何かが落ちるのが見えた。 近寄るとそれは長財布である。 落ちた衝撃で、パラッと開いてしまい、 千円札やクレジットカードなどが見える。 私は、驚いて、こう言う。 「落ちましたよ!」 反応が何もない。 聞こえていないのだ。 ふと耳元…