今回は、葛城山を詠んた歌について。 まず、新古今和歌集から、一首。 題しらず よみ人しらず よそにのみ見てややみなむ葛城や高間の山のみねのしら雲 (よそにのみ みてややみなむ かつらぎや たかまのやまの みねのしらくも) 新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 990 【語釈】 よそ…名詞。離れたところ、別の場所。 よそなり…形容動詞。遠く離れている。身近ではない。無関係だ。無縁だ。 やむ…(何らかの現象が)おさまる。途中で終わる。起こらないまま終わる。死ぬ。 葛城の高間の山…奈良県中西部にある、金剛山のこと。 峰の白雲…峰にかかっている雲。 【普通の意訳】 ご縁のないまま、遠くから眺めるだけで終わっ…