2012-01-31
にわかに巻き起こるライトノベルの「人気投票イベント」ブーム!
ライトノベルの人気投票イベントと言えば、かつては「2chライトノベル板大賞」と「ライトノベルサイト杯」の二大イベントが大勢を占めていましたが、両巨頭亡き後、現在では大小様々な投票イベントが乱立しています。ということで、今回はそれらを紹介してみたいと思います。
このライトノベルがすごい! ライトノベルBESTランキング
公式サイトが無いのでこのライトノベルがすごい! - Wikipedia
ちなみに、ググって出てくる「このライトノベルがすごい!大賞」というのは、同じく宝島社の「このライトノベルがすごい!文庫」というライトノベルレーベルが実施している新人賞なので、ムック本の『このライトノベルがすごい!』とは異なります。
このランキングの特徴は、なんと言っても企業が大々的に実施している点にあります。単純に投票数が多いですし、WEBアンケートだけでなくモニターアンケートなども実施、その結果が掲載される『このライトノベルがすごい!』発売時には各所で話題になります。一方で、投票数が多いと「知名度ランキング」的になり、アニメ化されている作品などで上位が固定されてしまうため、そのあたりのバランス調整で苦心しているようですね。
毎年9月頃にWEBアンケートが実施されますので気軽に参加してみましょう。
[新]ライトノベルニュースオンライン みんなで選ぶベストラノベ
みんなで選ぶベストラノベ2011投票受付中! « ラノベニュースオンライン ライトノベル総合情報サイト
ライトノベルニュースオンラインは新興のライトノベル専門ニュースサイトです。企業運営という形態は、ネットメディアとしては珍しくありませんが、ラノベ専門のサイトとしては初になるのでしょうか。作家へのインタビューや、他ブログの記事の配信、ライトノベルの投稿ページなど、やはり個人サイトよりも動きがアグレッシブですね。
[新]ラノベ好き書店員大賞(仮)
虎とラッパ | ラノベ好き書店員大賞(仮) を募集します!
「ライトノベル向けの「本屋大賞」が無いなら作ってしまえ!」ということで立ち上げられた企画です。投票資格が「書店員(ライトノベル担当でなくても可)」なので私は参加できないのですが、このイベントが大きくなって本当に「本屋大賞」みたいになれば面白いと思います。全国の書店員の皆さんにおかれましては是非とも参加をご検討ください。
投票方法はメールかTwitterのDM。期間は3/31までだそうです。
ライトノベルツイッター杯
Galleの本棚 2011年下半期ライトノベルツイッター杯 説明用
Twitter上で開催されている投票企画、通称「ラノツイ」です。投票用のTwitterアカウント @ranotwi へ作品名を含めたリプライを送ることで投票できます。Twitterアカウントが必要ということで投票者は少なめですが、そのぶんマイナーな作品が上位に来たりもしています。
2011年下半期の結果は既に出ています(既存部門結果 / 新規部門結果)。次は2012年上半期ですね。
好きなライトノベルを投票しよう!!
好きなライトノベルを投票しよう!!
ライトノベルブロガー向けの投票企画です。ブログに記事を書いてトラックバックを送信しなければならず、ラノツイよりもさらに投票のハードルが高くなっていますが、ほとんどがライトノベルの感想サイトを運営する猛者たちによる投票なので、その結果もよりマニアックになっているように思います。投票方法からすると「ライトノベルサイト杯」に近い企画ですね。
こちらも2011年下半期の結果が既に出ています。次は2012年上半期です。
アンケート「お気に入りライトノベル」
ラノベの杜の左メニューの下のほうに過去の投票結果がまとまっています
ライトノベルの新刊情報サイト「ラノベの杜」上で実施されている、Webフォームを使ったアンケート。少年向け・少女向けを区別しているのが特徴です。有名サイトが主催し、またアカウント等も必要ないということもあって、投票者が多いですね。
2011年下半期の結果が出ています(少年向け / 少女向け)。次回は2012年上半期です。
少女小説人気アンケート調査
Vanilla Letter | 第7回(2012年)少女小説人気アンケート調査
少女向けライトノベルに限定したアンケート。Webフォームから投票を行うようです。私は少女向けはあまり読まないのですが、こちらでは投票結果を(投票者の)年齢別で見られたりして、なかなか面白い結果になっていると思います。
2011年版の投票は本日が締め切りだそうで、お早めに投票を。
[新]ライトノベルタイトル大賞
ライトノベルタイトル大賞2011開催のお知らせ | まいじゃー推進委員会!
「ただ長文系タイトルへの不満を口にするよりも、どんなタイトルがいいのかを言い合ったほうが建設的じゃないか?」ということで立ち上げられた企画。投票用Twitterアカウント @lanobe_title 宛てにリプライするラノツイ方式と、Webフォームから投票する方式と、二つが用意されているようです。
[新]2012年1月刊行のラノベ表紙ベスト
文字を楽しもう-ニコニコミュニティ
ニコニコ生放送の「文字を楽しもう」コミュニティで行われているらしい。ニコ生はあまり知らないので紹介しづらいです。「年間」や「上半期・下半期」ではなく「2012年1月」であることに注意ですが、これ毎月やるんですかね? Twitterアカウント @syuu001 宛てにリプライを送るか、ニコニココミュニティの掲示板に書きこむかすれば良いようです。
本格ライトノベル大賞
本格ライトノベル大賞: 京大SF・幻想文学研究会ブログ
「京大SF・幻想文学研究会(KUSFA)」による賞。京都SFフェスティバルにおいて公開座談会の形で議論を行い受賞作を決定する…ということらしいです。加えて「隠れた名作を選ぶ」という方針があり、かなり独特な結果になっています。ライトノベルで「アンケートによらない賞」というのは、新人賞を除けば、これが唯一ではないでしょうか。
以上です。
他にもあればコメント欄などで教えてください。随時追加します。
関連情報として、ラノベ読みは年末になると勝手に「今年のベスト」を発表したがる奇癖があるのですが、それらをブックマークの方でまとめています。
はてなブックマーク - ウォーターバード::Bookmark - ベスト - ライトノベル
※しばらく遡ると去年9月頃に流行った「32選」の記事が含まれてきますので注意
あ、私の「今年のベスト」は以下のとおりです。
2011-12-31
2011年ライトノベル個人的ベスト10
1. 『アイドライジング!3』広沢サカキ
- 作者: 広沢サカキ,CUTEG
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/10/08
- メディア: 文庫
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バトルスーツを身に纏い、美少女同士が殴りあう、アイドルたちの格闘ショーが一大イベントとして認知されている近未来。ひょんなことから何の覚悟も無しにアイドルになってしまった少女が、先輩アイドルや同期のライバルとの戦いを通じて、彼女たちとの友情と、自身のアイドルとしてのスタンスを育んでいくという、新人アイドルの成長ストーリー。
清く、正しく、明るく、楽しく、ときに弱く、でもいつも可愛く。極めてポジティブに読める作品であり、読後感が心地良い。この作品自体がまさに「アイドル」を体現している。そして作者の広沢サカキも、主人公のモモと同じく、荒削りだが魅力的な新人作家なのである。
2. 『丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ』耳目口司
丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ (角川スニーカー文庫)
- 作者: 耳目口司,まごまご
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/08/31
- メディア: 文庫
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この第3巻では、フランケンシュタインをモチーフに、というよりあらすじだけ見ればターミネーターに近いが、怪物のような男に追われて街中を駆けまわることになる。主人公と行動を共にするのは、美少女予知能力者と超ド級マゾ……設定だけ見れば異常な二人は、しかし、この作品においては「マトモ」な側の人間として描かれている。真に異常であり怪物であり邪悪であるのは、主人公たちオカルト研究会の方なのだ。「正義」よりも「悪」に魅力を感じる中二病患者の皆様方に是非ともご覧いただきたい作品である。
シリアスな「悪の組織」ものとしてのライトノベル『丘ルトロジック』 - ウィンドバード::Recreation
3. 『ニーナとうさぎと魔法の戦車4』兎月竜之介
ニーナとうさぎと魔法の戦車 4 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 兎月竜之介,BUNBUN
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: 文庫
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『アイドライジング!』が「陽」の百合とすれば、こちらの『ニーナ』は「陰」の百合である。第4巻の主役は、居眠り病を患ったことでいじめられ、そして学校を追われた少女である。彼女は戦車隊「首無しラビッツ」に拾われ、そこで喧嘩友達もとい大切な少女と出会った。しかし、学生時代に憧れだった先輩に誘われた彼女は、悩んだ末に復学してしまう。
『ニーナ』に登場する少女たちは、誰もが重く苦しい過去を抱えている。現在を取るか、過去を取るか。そこでどうしても過去に囚われてしまうのが彼女たちであり、しかしその過去を粉々に吹き飛ばすのもまた彼女たちなのである。百合って素晴らしい。
4. 『変愛サイケデリック』間宮夏生
- 作者: 間宮夏生,白味噌
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/04/08
- メディア: 文庫
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前作『月光』で捻くれ者のツンデレカップルをミステリ風に描いて人気を博した作者の新作は、またも中二病マインドがびんびんに刺激される奇妙で爽快な青春ストーリー。超高校級の知識と行動力と奇抜さを兼ね備えた美少女と、自殺願望にまみれた無表情系美少年の出会いから物語は始まる。他作品では「頼りになる変な先輩」として登場するようなタイプのキャラクターを敢えて主人公に据えているところが挑戦的で素敵だと思う。
5. 『STEINS;GATE -シュタインズ・ゲート- 円環連鎖のウロボロス2』海羽超史郎
STEINS;GATE─シュタインズゲート─ 円環連鎖のウロボロス(1) (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: 海羽超史郎,huke
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/08/20
- メディア: 文庫
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STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 円環連鎖のウロボロス(2) (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: 海羽超史郎,huke
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2011/03/19
- メディア: 文庫
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言わずとしれた傑作ADVゲームを伝説の作家・海羽超史郎が完璧にノベライズ。海羽超史郎とシュタゲ。まさにアムロをガンダムに乗せるがごとき究極の組み合わせ。さらにファンディスクを原作とした「比翼連理のアンダーリン」も現在発売中!…なんだけど、こっちはまだ読んでないんだよね。
6. 『涼宮ハルヒの驚愕(前)(後)』谷川流
涼宮ハルヒの驚愕(前) (角川スニーカー文庫 168-10)
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/06/15
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涼宮ハルヒの驚愕(後) (角川スニーカー文庫 168-11)
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/06/15
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ついに発売された『涼宮ハルヒ』シリーズの最新刊。詳細な感想はこちらで書いた。これでまた『ハルヒ』の続きが出なくなったとしても、もはやそれに対して文句を付けることはない。作家としての活動だけは続けてもらいたいと願うばかりだ。
7. 『俺はまだ恋に落ちていない』高木幸一
- 作者: 高木幸一,庭
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2011/11/16
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性格の異なる美人姉妹、活発で男受けの良い恵衣美と、大人しそうでいてちょっと腹黒い詠羅。顔を合わせては罵りあうような険悪な関係の二人が、主人公を挟んで火花を散らす三角関係ラブコメ。
『青春ラリアット!!』、『脱兎リベンジ』、『東雲侑子は短編小説をあいしている』、『桜色の春をこえて』、『豚は飛んでもただの豚?』などなど、非「非日常」な青春恋愛物にスカっとした良作が多かった今年、もっとも俺の心を捉えたのがこの作品だった。怪力メイドや祖母の遺訓など突飛な設定も多い中で、それでも地に足のついたリアリティを感じたのは、主人公がどこまでも自然体だからだろう。デビュー作ながらとても完成度の高い作品である。
8. 『神明解ろーどぐらす5』比嘉智康
- 作者: 比嘉智康,すばち
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/03/22
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ほんわか下校風景を描く日常系から急転直下のサイコサスペンスへ。「MF文庫Jで人気のある主人公」と言われて多くの人が挙げるくらい、ラノベ界でも屈指の男気を見せる主人公の池田十勝(通称・勝ち越しさん)と、ラノベ界でも屈指の変態性を誇る「犯人」が、二人絡み合い螺旋を描いて互いを高めあっていくような、そんなシリーズ最終巻。日常系・サスペンス・ハーレムラブコメ、それぞれのジャンルで傑作は数あれど、三つ全てを兼ね備えた傑作は『ろーどぐらす』だけであろう。
9. 『テルミー2 きみをおもうきもち』滝川廉治
テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 滝川廉治,七草
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/07/22
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クラスメイトのほぼ全員が亡くなる大事故のたった二人の生き残り、恋人を失った主人公と、死んだクラスメイトの想いを憑依させたヒロインが、二十四人のクラスメイトの心残りを晴らしていく、青春オカルトストーリーの第二巻。ちょっと言い方は悪いけれど、お涙頂戴の鉄板話を、実力派の作家が見事に描き切っているのだから、そんなの感動しないわけがない。ずるさを感じるくらいに切ない作品である。
10. 『六花の勇者』山形石雄
- 作者: 山形石雄,宮城
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/25
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ファンタジー + 人狼ゲーム。という一発ネタでは、もちろん終わらないのが山形石雄である。前作『戦う司書』シリーズにて、至極巧妙に伏線を張り巡らせ、きっちりと回収してのけたその手腕は、この作品においても遺憾なく発揮されている。
クローズドサークルに閉じ込められた六人の勇者たち、状況から推理して互いに疑惑をなすりつけあうミステリ要素、それぞれに特徴的な能力を持った彼らのバトル要素、疑心暗鬼に陥った彼らのなかでそれでも芽生える信頼、そして恋愛要素。美味しい食材をたっぷり詰め込んでまとめあげた超一流のエンターテイメント作品である。
過去記事
2010年ライトノベル個人的ベスト10 - ウィンドバード::Recreation
2009年ライトノベル個人的ベスト10 - ウィンドバード::Recreation
2008年ライトノベル個人的ベスト10 - ウィンドバード::Recreation
「好きなライトノベルを投票しよう!! 2011年下期」投票
秀章『脱兎リベンジ』
- 作者: 秀章,ky
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/07/20
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滝川廉治『テルミー2 きみをおもうきもち』
テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 滝川廉治,七草
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/07/22
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瀬尾つかさ『約束の方舟』
- 作者: 瀬尾つかさ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/07/22
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- 作者: 瀬尾つかさ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/07/22
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西尾維新『少女不十分』
- 作者: 西尾維新,碧風羽
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/07
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師走トオル『火の国、風の国物語13 英傑雄途』
火の国、風の国物語13 英傑雄途 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 師走トオル,光崎瑠衣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
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広沢サカキ『アイドライジング!3』
- 作者: 広沢サカキ,CUTEG
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/10/08
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兎月竜之介『ニーナとうさぎと魔法の戦車4』
ニーナとうさぎと魔法の戦車 4 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 兎月竜之介,BUNBUN
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/10/25
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直井章『桜色の春をこえて』
- 作者: 直井章,ふゆの春秋
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/11/10
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高木幸一『俺はまだ恋に落ちていない』
- 作者: 高木幸一,庭
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2011/11/16
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石川博品『クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門』
クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門 (ファミ通文庫)
- 作者: 石川博品,一真
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- 発売日: 2011/11/30
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2011-12-25
「越境」後のライトノベル
以前、ライトノベルの「越境」というものが論じられたことがありました。
「越境」するライトノベル:第一章 (のべるのぶろぐ 2.0)
解説本ブームによるライトノベルの「再発見」、ライトノベルのハードカバー化戦略、ハヤカワの「リアル・フィクション」、児童文学(YA)のライトノベル化などなど、まあ例によって定義は曖昧なのですが、総じて「外」へと向かうような動きをまとめて「越境」と呼んでいたわけです。
そうした「越境」作家の代表格、桜庭一樹、冲方丁、有川浩、米澤穂信らは、みなそれぞれに「内」側から飛び出して、いまでは「外」の世界で活躍しています。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/01
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/26
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ところが、最近の「越境」作家、犬村小六、森田季節、瀬尾つかさ、瑞智士記といった作家たちは、「外」側で活躍する一方、「内」側にもきっちりと重心を残しています。つまり、いわゆる「ライトノベルレーベル」から作品を刊行し続けているのです。
- 作者: 森田季節,庭
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/14
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- 作者: 森田季節,尾崎弘宜
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2011/10/17
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いや、それを言うなら桜庭一樹や冲方丁もしばらくは内外で活動を続けていましたが、それでもいずれ「外」の方に専念するのだろうという匂いがありました。最近の「越境」作家にはそういった匂いが無い…とは言い切れないまでも、薄いように思うのです。
以下、そのあたりについて、ライトノベル業界の現状分析と併せて述べてみたいと思います。
「内」側の動き:レーベル横断的な作家たち
「いまに飽和する」「もう限界」と言われながらも、ライトノベルの膨張は続いています。つい先日にも、最後の大物と言われる「講談社ラノベ文庫」が創刊されましたし、来年のカレンダーを見ても既に新レーベルの創刊がいくつか予定されているようです。
レーベルが増えれば刊行点数も増え、より多くの作家が求められるようになります。そこで、速筆のベテラン作家を他レーベルから引っ張ってくることが多くなってきました。
そうした傭兵作家としては、榊一郎、築地俊彦、日日日、十文字青、杉井光あたりが挙げられるでしょうか。たとえば、杉井光はこれまでに「電撃文庫」「MF文庫J」「GA文庫」「ガガガ文庫」「一迅社文庫」「講談社ラノベ文庫」から、十文字青は「スニーカー文庫」「MF文庫J」「一迅社文庫」「幻狼ファンタジアノベルス」から作品を出しています。
- 作者: 杉井光,ぽんかん(8)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/02
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- 作者: 十文字青,硯
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/10/21
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彼らのような作家が増えることで、レーベルの境界は非常に曖昧なものとなっていきました。杉井光ほどではないにしろ、いまや二つ三つのレーベルから作品を出すのは当たり前になっているのです。
もうひとつ、電撃文庫の「開国」についても触れておきます。これまで電撃文庫は鎖国的な態度を取っており、他社でデビューした作家をあまり受け入れないような傾向がありました。しかし今年に入ってから近年は、富士見ファンタジア文庫の風見周が『嫁にしろと迫る幼馴染みのために××してみた』を、同じく富士見の師走トオルが『僕と彼女のゲーム戦争』を、さらにガガガ文庫からデビューしていた神崎紫電が『ブラック・ブレット』を、それぞれ刊行しています。これもレーベル横断的な動きの一つと言えるでしょう。
- 作者: 師走トオル,八宝備仁
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/06/10
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考えてみれば、最近では多くの作家がレーベルの枠を越えてTwitterなどで親交を深めたり、あるいは他社の編集者と繋がっていたりするので、おそらく昔に比べればレーベルを横断するのも楽になっているのでしょう。上述した風見周と師走トオルも、例の「いけぬこ研究会」のメンバーですので、もしかしたら電撃作家である支倉凍砂や杉井光に多少の便宜を図ってもらったのかもしれません。
「外」側の動き:周辺ジャンルのライトノベル化
業界最大手でありながら最も進歩的な電撃文庫の、最新の挑戦がメディアワークス文庫(MW文庫)です。これは電撃文庫のターゲットである中高生よりも上の世代をターゲットにしたレーベルで、「ライトノベルではない」と自ら宣言し、一般文芸の売り場での浸透を狙っているようです。
しかし、MW文庫の作家のほとんどは、実は電撃文庫の作家でもあります。MW文庫からは今年になって『ビブリア古書堂の事件手帖』という大ヒット作が生まれましたが、その作者も長らく電撃文庫で活躍していた人です。また、MW文庫には「メディアワークス文庫賞」という新人賞があるのですが、これは電撃文庫の新人賞である「電撃小説大賞」に投稿されてきた作品の中から選ばれます。なんというか、鷹と鷲の違いみたいなもので、そこに根本的な区別はないのです。
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/03/25
- メディア: 文庫
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- 作者: 三上延,椎名優
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/08/10
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つまるところ、MW文庫は電撃文庫内に作られた「外」側なのでしょう。MW文庫の創刊によって、電撃文庫の作家は環境をほとんど変えないまま「越境」できるようになったのです。
星海社とハヤカワの動向も見逃せません。星海社は元長柾木、虚淵玄、犬村小六、森田季節、唐辺葉介、紅玉いづきなど。ハヤカワは森田季節、長谷敏司、榊一郎、大西科学、木本雅彦、籘真千歳、瀬尾つかさ、瑞智士記など。どちらの出版社も積極的にライトノベル作家から人材を迎え入れています。
- 作者: 犬村小六,片山若子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 瑞智士記
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 新書
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何も「越境」は終わったムーブメントではありません。そういう意味で、MW文庫創刊や星海社・ハヤカワの動きは、「越境」の最新の成果と言えるでしょう。
で、
まとめてみるとこういう流れなのではないかと思います。
新たなライトノベルレーベルが次々に創刊され、より多くの作家が求められるようになり、速筆を生かして複数のレーベルで活動をする作家が増えた、そのようなレーベル横断的な活動の延長として、彼らはMW文庫・星海社・ハヤカワなどの周辺ジャンルにも足を伸ばすようになった――
「越境」という言葉に合わせれば「巡業」とでも言いましょうか。
「外」へ「外」へという開拓精神に溢れていたのが「越境」なら、それによって拡大されたライトノベルの領域を広く使って商売して回るのが「巡業」と、そういうイメージです。「行商」のほうがいいですか。まあ、なんでもいいんですけど。