昭和60年ごろ、ある大学の講師控室でいつものように国文学者のF先生との話し。 F「のりも君、君の名前で思いだしたよ。今日は『海苔の日』なんですよ?」 私「え?のり・・・ですか。なんでです?」 F「いやぁ・・・この時期がむかしから海苔生産の最盛期だからでしょ。それといっしょに思いだしたんだけど、芭蕉がね 海苔汁の手際見せけり浅黄椀 っていう句を残してるんですよ。これ知ってる?」 私「いいえ・・・知りませんが・・・どういうことなんです?」 F「ええ、この句はね、芭蕉が浅草に住む門人千里を訪ねたときに、出してもらったみそ汁での歓待に感謝して詠ったんですねぇ」 私「なんの変哲もないように思えるんですが…