結婚して数年が経ち、日常に追われる日々を送るようになったふたり。 互いの愛情は変わっていないはずなのに、どこか心に距離を感じていた。 そんなある日、2人は偶然、初めてデートをした場所を訪れる。 そこで、過去の自分たちと重ね合わせ、今の自分たちに足りないものに気づく。 「ねえ、ここ覚えてる?」 彼女が指さしたのは、街角にある小さなカフェだった。 木製の温もりが感じられる店内は、柔らかな光に包まれていた。 「もちろん。初めてデートしたとこだろ」 彼は苦笑いを浮かべる。 若かった頃の2人は、この店で何度も時間を忘れて語り合ったものだ。 「あの頃は、毎日が新鮮で。どんな些細な事でも、一緒にいれば楽しく…