映画「疑惑の影」(原題:Shadow of a Doubt, 1942)はヒッチコックの中期のサスペンス映画。「見知らぬ乗客」などと同様に善と悪、光と影など人間の持つ二面性の対立というヒッチコックのテーマが描かれる。 疑惑に満ちた叔父チャーリーの役を不気味に演じるのはジョセフ・コットン(「第三の男」)。じわじわとその恐ろしい本性が現れてくるところが怖い。叔父と同名のチャーリーを演じるのは「ミニヴァー夫人」(傑作!)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したテレサ・ライト。 ヒッチコックはこの映画で「恐怖とは、よそ者ではなく、自分たちの中にいる」という不気味さを描きたかったようだ。チャーリー叔父はその象…