庭のかたちが生まれるとき お寺のほぼ新規工事(もともと庭があった場所ではあるが)となる庭づくりを着工から一応完工するまでのやり取りを描き、その流れについて考察を加えられていく。一応、外構、造園業を生業としてきたものとして、「そう、そうなんですよ。」と思うところも多いが、僕が面白いと思ったのは庭づくりの知恵のたとえとして「わらしべ長者」の話が出てきたところだ。 わらしべ長者の話は一文無しの青侍が観音から授かった一本の藁しべの先に虻を結わくことから事が回り始まる。その事のはじまりには、藁しべ(物)と虻(物)を結びつけるという青侍のセンスが重要で、それが人と人を結びつけ、ついには大金持ちになる。本書…