馬場あき子『掌編 源氏物語』(潮文庫)を読む。あの長大な源氏物語を文庫本1冊にまとめたもの。香老舗松栄堂が法人設立50周年の記念事業で『源氏物語』54帖の物語の絵をそろえたいと企画したもの。京都画壇の日本画家54人に依頼して描かれた絵に、馬場あき子が1帖につき1,200字前後の要約を書いたもの。複雑な筋や心理描写をたった原稿用紙3枚に要約するなど無理なのだが、馬場あき子は各帖に主要人物の和歌の応答を引用し、本来無味乾燥な要約に膨らみを持たせている。 源氏物語は翻訳ですら読んだことがなかった。今回初めて粗筋を知った次第。それにしても平安王朝の恋愛関係の複雑で入り乱れていたこと。 54帖に添えられ…