3月10日の東京大空襲に『筆洗/260310』は思う▼その2日後の3月12日、高見順は東京駅で兄妹連れがうずくまっているのを見たとも書いている。「放心したように足もとに目を落して、じっとしている。両親はどうしたのだろうか。眼が熱くなる」▼家族を失った81年前の子どもたちはどうなっただろう▼東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイ米空軍大将はかつて戦争の心構えをこう語ったそうだ。たとえ、空襲の中で「ママ」と叫ぶ少女を思い浮かべたとしても「任務をまっとうしたいのなら、そんなものは忘れることだ」と▼それが戦争なのだろう。戦争の大義、任務の中で、人は「正気」を失い、同じ人間の痛みや叫び声さえ想像できなくな…