「お仕事いろいろ」というテーマで紹介される作品の第七弾は、小森陽一『オズの世界』(集英社文庫、2015年)。波平久瑠美22歳が東京ディズニーランドを初めて訪れたのは、幼稚園のとき。それ以来、寝ても覚めても、頭のなかはディズニーランドのことで一杯。大学に進学すると、実際にキャストとして働きました。が、就職試験の結果は不合格。都内の大手ホテルに採用されたのですが、福岡県と熊本県の県境にある「東洋スーパーワンダーランド」(TSW)に出向することに。集客力、イベントの量と質、スタッフの力量など、ディズニーランドとは雲泥の差があり、落胆ばかりの毎日が始まりました。それでも、懸命に働くうちに、「TSWの良…