君子蘭東。長年放置された古鉢割れ鉢のなかで、あまりに巨大化した球根群を割って、分散地植えした、その一方である。 地植えにすれば、命はつなげるだろう。だが先祖還りが進み、花芽を挙げることはなくなるかもしれない。過密の逆境ゆえの枯死を覚悟で、園芸種としての誇りをまっとうするか、駄種に成りさがってでも命をつなぐかの、二者択一だった。彼らをみじめに生かしたのは、私の選択だ。 視るからに栄養不足の、細らみいじけた葉姿とはなったが、根着いてくれた。命あって物種と、わが選択を慰めた。 年周期の役割循環が終盤に近く、葉の先がだいぶ枯れてきている。が、全体に色褪せたとはいえ、まだ緑色部分を多く保っている。老化し…