スマートフォン用の表示で見る

本心

読書

本心

ほんしん

1.上辺だけでない、まことの心。「−を打ち明ける」

  • 知ろうとすればするほど分からなくなるものであり、伝えようとすればするほど誤って伝わるもの。当人の意図、各人の主観を裏切る全体性。

3.〔東アジア思想史〕 体用論の重要な用語。語義2と通ずるが、以下のような意味の広がりがある。

  • 心の本体。
    • 常に変化する心の作用(感情など形を取って現実化するもの)に対して、変化しない心の基底を指す。形を取らないので、それ自体を知覚することはできない。万物を映しながら、それ自体は影響を受けない鏡に喩えられる。
    • 老荘思想の文脈では、「明」(人間に本来備わった知恵、「明鏡止水」に喩える)に相当。
    • 仏教唯識思想の文脈では、「第八阿頼耶(アラヤ)識」(蔵識)に相当。
    • 密教の文脈では、「自性清浄心」「第九阿摩羅(アマラ)識」(無垢識)に相当。
    • 天台本覚思想の文脈では、「本覚(ほんがく)」(=「凡夫本仏」)に相当。
    • 近世日本の手島堵庵1718-86・布施松翁1725-84らの石門心学者は、万人が「本心を知る」ことを平易な言葉で説いた(石田梅岩1685-1744の「性を知る」を受けている)。
  • 世界の本体。
    • 心の本体は、各人の内部のものではなく、普遍的な基底であると考えられたため、世界の本体とも通ずる。
    • 仏教の論書の文脈では、「理性(りしょう)」「空性」「仏性」「法身」に相当。
    • 朱子学(新儒学)の「天理」(気=物質に対して、無形の規則性)も同様。

なお、上記の東アジア思想史の文脈は、ヨーロッパ哲学のratio、reason(根拠=理由)の訳語「理性(りせい)」に受け継がれる。

  • 参考(体用論への言及)

 「アジア思想史」という大々問題 (基本文献紹介つき) - ピョートル4世の<孫の手>雑評

荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)

広説仏教語大辞典 (上巻)

密教大辞典

手島堵庵心学集 (岩波文庫 青 22-1)

松翁道話 (岩波文庫)