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【Asperger's Syndrome(AS)】
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版に定義」されている先天性脳機能障害の概念。
自閉症スペクトラム障害の一つとして分別され、いわゆる「社会性の欠如」「コミュニケーション能力の欠如」「想像性の欠如」といった三つ組の障害が具体例として出される。
知的障害がみられない発達障害の一種で、「高機能自閉症」と同義で用いられることもあったが、最近では別々に分けた概念として扱っている。幼児期に最もよくその徴候が現れるが、成長につれてその症状は薄れていくことが多い。
聴覚や視覚などの感覚が過敏な場合もあり、そのために日常生活や就労においての工夫や日常生活のストレスなどにより、二次障害*1が発生する恐れもあるので、福祉的かつ医学的配慮も必要である場合があるが、すべての人がそうではない。
1900年代にオーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーに「自閉的精神病質(autistic psychopathy)」(精神病質とは後に人格障害、パーソナリティ障害のことではあるが自閉的パーソナリティ障害とは呼んでいない)との概念で発見されたが、第二次世界大戦敗戦国側の発見であったので、当時はさほど注目はされなかったようである(日本の極めて一部の学者は知っていた)。しかし、後に戦勝国側であるイギリスの精神科医、ローナ・ウィングの論文において、アスペルガー症候群として紹介されたことで、医学界で認知されるようになった。
人それぞれであるが、社会では生きることに困難さがある。公的支援なしで生きることが出来ないほどの状態であれば障害者・障害児である。
2013年5月、アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計の手引き(DSM)が第5版に改訂。この手引ではアスペルガー障害の分類が消え、重い自閉症からアスペルガー障害までを連続的に捉える「自閉症スペクトラム障害」に一本化されるが、日本の公文書(診断書等)では世界保健機関 (WHO) のICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類書くことになっていて、そこではアスペルガー症候群であるので今のところ診断名が無くならないと思われる。
アスペルガー障害と診断される人のデータを第5版で診断し直したところ、4分の3の人が、自閉症スペクトラム障害に該当しなくなった。そのため、今後は同じような障害を抱えていても診断で除外され、コミュニケーション技術の支援教育などが受けられない可能性があるという。さらに、現在、アスペルガー症候群と診断されている人の間でも、診断名がなくなることへの不安の声が出ている。
スラングとしては
未診断の人が自分がアスペルガー症候群だと名乗ること。
または専門医でない人が冷静さを失った挙句「あなたはアスペルガー症候群ではない」という意味で
「お前は自称アスペルガーだ」と言って本人を傷つける行為のこと。
元々は診断の結果、アスペルガー症候群ではない人*2が本当の意味。
なお「自称アスペルガー症候群」は正式な用語ではなく勝手な造語と思われ、「自称」というその言葉のイメージから関係者内の醜い言い争いに使われやすく(「おまえは自称だろ」など)、注意が必要がある。
精神科領域では勝手な造語が多く、患者などを混乱させている(例:新型うつ病など)
自称アスペルガー障害、自称アスペルガー、自称アスペとも言われている。
ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン
ICD-10精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン
*1:発達障害とは別に、うつ病や統合失調症などの精神疾患を併発してしまう状態
*2:http://www10.showa-u.ac.jp/~karasu/contents8/hattatsusyougai.pdf