Simone Veil フランスの政治家。 1927年7月13日、生まれ。2017年6月30日、死去。
Simone Weil (1909-43)
フランスの哲学者、教師。
政治家で保健相、欧州議会議長などをつとめたSimone Veil (1927-) は別人。
彼女について多くの書物があまれているが、うまく語られることのない哲学者のひとりである。スペイン内戦、フランスレジスタンス運動、ハンストの末、34歳で逝去。
日本では「重力と恩寵」がもっとも有名。
ヴェイユ予想などで知られる数学者アンドレ・ヴェイユの妹でもある。
前回、藤井風の唄とサイババの思想の共通点を探った。 gyakutorajiro.com「Lonely Rhapsody」は、孤独は幻想であり、自分自身を愛することの重要性を。「青春病」や「何なんw」は、外の世界にある欲望の対象への執着からの解放を。「Grace」は、欲望に囚われた私自身を切り離して、内なる私に出会おうとする意志がある。そしてそれらの特徴はサイババの思想や言葉と共通していることを示した。補足すれば、人類愛や平等主義のような思想だ。 ところで、この聖なる紐は、地方によってはバラモン(僧侶)階級の者だけが受けることができるとされている。その場合、ガヤトリ―・マントラは彼らのみのための…
読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ ピカソ「私の芸術は破壊の歴史である」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 講義は芸術にシフトした。 芸術は個人的に関心の高い分野であるので集中して読むことができた。 芸術の章、530ページまで読み終える。 ・・・ 芸術はニヒリズムのなかで唯一人間が輝ける場所であると読んでいて感じた。 もちろん、多くの識者は現代芸術が資本主義においてはただの商品と成り果て…
フロランス・ド・リュシー『シモーヌ・ヴェイユ』のつづきをよむ。 nainaiteiyan.hatenablog.com ヴェイユは明らかに数学者の兄に影響を受けている。 彼女の本は神秘主義に傾いているようにみえるが、本書を読むとヴェイユは数学と植物学をかなり勉強していたことが分かる。 『重力と恩寵』は、太陽から降り注ぐエネルギーを植物が受け止め、クロロフィルが光合成を行うイメージで書かれていることがわかった。 ヴェイユは「恩寵のクロロフィル的力」という表現を使っている。 科学的な知見を基盤に思想を構築することにつとめた。 それにしても、クロロフィルという物質には神秘的なものを感じる。 太陽光を…
フロランス・ド・リュシー『シモーヌ・ヴェイユ』白水社文庫クセジュ (2022年) を読む。 1909年から1943年の間を生きたフランスの哲学者の解説書となっている。 ヴェイユはマルクスの構築した体系を「天才的な思想」と評した。 唯物論が正しいのであれば、それは世界のあらゆるものを説明する。 しかし、超自然的な、神秘的なものを考慮に入れないならば、と加えた。 ヴェイユは、マルクスが解明した抑圧は革命では除去できないと踏んだ。 こうも述べる。 社会的秩序は必要ではあるが、いかなるものも本質的には悪である、と。 ヴェイユは人間には物質を超える、超越したものを持っていると信じていた。 おそらくプラト…
想うところに3 シモーヌ・ヴェイユ 人には想像する自由がありますが、信仰の本質は、想像ではありません。また、事実でもありません。信仰は、悲しみを知る心に生まれ、いちばん酷い孤独からの解放を与えます。確定は出来ないが、否定できない真実として受け取って、信仰者が生まれます。ゆえに、神秘と呼ばれます。 人が想い描く人物像は、人格も含めて想い描いた像ですから、その人ではありません。常にその人の偶像を相手にしているようなものです。想うところに人はいないのです。しかし、人は、想い描かれた人の偶像の間違いを、完全ではないが、ある程度、態度や言動で知ることが出来ます。 人間関係は誤解で成り立っているところがあ…
1. 序論 筆者は、前回シモーヌ・ヴェイユを題材としてレポートを書いた(以下参照)。 そこでは、神へと至る信仰の愛を「女性的なもの」として解釈した。しかし、信仰はあまりに深淵である。この現代において、全ての人が至らなければならない道ではない。そもそも、レポートで扱ったような女性の表象では、「真理としての女」から逃れられていないと自分でも思う。ゆえに筆者は、別の形でヴェイユを理解し、それを人に伝える必要がある。 また、ヴェイユとフェミニズムの間に何の関係があるのかとも言われることもあるだろう。彼女は女性であったが、フェミニズムの提唱者であるボーヴォワールと問題意識を共有することはできなかった。ゆ…
「真理は死の側にある」La vérité est du coté de la mort. シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』の中にあることばである。 このことばから、真(眞)という漢字の成り立ちを思う。 この字は横死した人の死体を表していた。死という字の右半分と同じ形が眞の字の上半分にあり、これが死者を表す。眞の下半分はさかさまにつるされた首の象形。 古代の中国では、行き倒れた人のもつ霊力への畏れの気持ちがあった。 「鎮魂」の鎮の字に眞の字が含まれることからもそれはわかる。 知らない人の死体だ、あるいは、敵兵の死体だという理由でそのままにしておけば祟りがあるから、鄭重に葬る。 ソフォクレスの『…
〈序論〉 本稿は、フランスの思想家、シモーヌ・ヴェイユの思想における「女性的なもの」を探るために作成されたレポートである。したがって本論では、彼女が取り上げる女性の表象を追い、そこにどんな関連性があるのかを検討する。流れとしてはまず、ヴェイユの思想における二つの側面、力の思想と愛の思想について説明し、一般的には矛盾するとされる二つの領域が、彼女の思想においては両者とも必要となることを明らかにする。次に、力の領域、愛の領域における女性・男性の表象の具体例をそれぞれ取り上げる。また、愛の領域におけるヴェイユの性の取り上げ方が、異性愛の表現に偏っていることを指摘する。結論としては、ヴェイユが取り上げ…
アッシジ(イタリア、ウンブリア州ベルージャ県)出典:Pixabay 22 グレイ著『ペンギン評伝双書 シモーヌ・ヴェイユ 』を読了後に23 ミクロス・ヴェトー(今村純子訳)『シモーヌ・ヴェイユの哲学―その形而上学的転回』から透けて見えるキリスト教ブランド24 ルネ・ゲノンからシモーヌ・ヴェイユがどんな影響を受けたかを調べる必要あり86 シモーヌ・ヴェイユと母セルマとガリマール書店の〈希望〉叢書 シモーヌ・ヴェイユ(不詳)出典:Wikimedia Commons 図書館から借りた『別冊水声通信 シモーヌ・ヴェイユ』(編集発行人・鈴木宏、水声社、2017)に、アルベール・カミュがシモーヌ・ヴェイユ…
出典:Pixabay エッセー 24 「ルネ・ゲノンからシモーヌ・ヴェイユがどんな影響を受けたかを調べる必要あり」で、シモーヌ・ヴェイユが学友でシュルレアリストであったルネ・ドーマルと共にルネ・ゲノンの著作の愛読者だったという情報を紹介した。 そうだとすると、シモーヌがルネ・ゲノンの思想を受容し、自己形成に役立てた可能性は高い。わたしはゲノンを調べる必要があると思った。 誇大広告もいいところの『世界の終末―現代世界の危機』 ブラヴァツキー夫人はスピリチュアリズムをどう見ていたのか カトリック教会に媚びたゲノン インスタントなイニシエーション、ゲノンの臨終の言葉「アラー、アラー」 ブラヴァツキー…
少年期といっても、18~24歳までのものです。 24まで「殉死」「喪失した美」「死者への憧れ」等の観念に染まっていたぼくは、25から26にかけて精神がくたばっちまい、何も信じられず何も書くことがない暗黒の空白を経て(コロナで休業になったのもありました)、26で『堕落論』と『絶望の精神史』の穿たれた虚空に救われました。そして、シモーヌ・ヴェイユの真白な天に穿つ『重力と恩寵』により少年期の憧れと当時の虚無が熔けあいました。 丁度、「睡る水晶」を書いている途中の話です。 あれは、主人公にとり後生大切にするつもりであったみせかけの水晶、或いは仮の主人を懐疑のうごきで概念の果てまで行き砕くことに成功した…
減薬のせいか気候のせいかわからないが、落ち着かない。不安がある。将来への不安。ぼんやりと、複数の不安がある。言葉にするともっと傷つきそうなので言葉にはしない。 この不安を薄めるためにただ書くのみ。ただ書くこと、書いて気を紛らわせることにしか救いはない。本当は人と話したりするといいのかもしれないが、いつでも相手の準備ができているとは限らない。 「不幸な人の唇はせわしなく動くが、いかなる音も誰の耳にも届かない。聞き取られないと確信しているため、不幸な人自身が言葉を使用しても無駄だということにすぐさま打ちのめされてしまうのである。」 『シモーヌ・ヴェイユアンソロジー/シモーヌ・ヴェイユ/今村純子編訳…
R4/4/28 引用。・悪はわれわれを貶めたのではなく、われわれの本来の水準をあらわしたにすぎぬ、と考えなければならない。 ──シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』 わたしはこの思考を刻みつけなければいけない。R4/5/15 要約。・一つの時代に限定された生き方、それを表現する芸術→時代の正道。そこで芸術が時代的に完成し、他の時代にも生命をもちうる意味が宿る。 ──坂口安吾(記憶では確か)小林秀雄との対談にてR4/5/16 引用。・誓うな、天にかけて。其処は神の玉座。誓うな、地にかけて。そこは神の足場。 ──聖書デジタル大辞典より 誓い 1 神仏に誓うこと。願。 2 将来、ある事を必ず成し遂げよう…
読んだ本 島田雅彦『君が異端だった頃』集英社 (2019) 大竹弘二『公開性の根源:秘密政治の系譜学』太田出版 (2018) 里中李生『私は昨日まで日本を愛していた』イースト・プレス (2021) ハンナ・アーレント『思索日記 1950-1953』法政大学出版局 (2006) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『君が異端だった頃』を手に取ったときに、この本が文庫化されていそうだということをなんとなく予感したが、やはり文庫化されていた。 集英社のコーナーに行けば良かったのだが面倒くさくて結局ハードカバーを買ったが少し後悔してしまっている。 悔しい…
2022年12月30日第1刷発行 表紙「憲法学×政治学×歴史学から問う 大戦時と重なる日本政府のコロナ対応、核保有大国による独立国家への侵略戦争、戦前以来の首相経験者の殺害――『いま、この国は岐路に立たされている』」 表紙裏「歴史の歯車は逆転するのかー。転換期としての“いま”を検証する。大戦時と重なる日本政府のコロナ対応の「失敗」、核保有大国が起こした独立国家への侵略戦争、戦後初の首相経験者の殺害、そして政治と宗教との関係…… 戦前を想起させる出来事が続くなか、過去からどのような教訓をくみ取るべきか。憲法学・政治学・歴史学の専門家が、暴力の時代に抗する術を考える。」 裏表紙「悪いことは何でも憲…
かつて地中に埋めて隠した爆弾が今まさに蘇る? "そのバタイユのアイディアのひとつに「禁忌を犯すことこそエロティシズムの源泉」という発想がある。 つまり、禁止された方が変態は楽しいよ、ということだ。..." http://tumblr.com/xgf1fuibdq — Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2011年2月6日 https://www.tumblr.com/yaz1966/3135018014/%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%83%90%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%A4%E…
あっという間に5月。Mの花粉症もおさまってきて布団も洗濯物も外に干し放題、窓も開け放題。いい季節。 5時頃に目が覚めて布団で読書。電気を付けなくても本が読めるくらい日の出も早くなった。5時半頃に再び睡魔が来たので二度寝。7時頃起床。ココアをいれて読書。いま読んでいるのは母へ送る用に買った「台湾漫遊鉄道のふたり」(楊双子著)と「根をもつこと(上)」(シモーヌ・ヴェイユ著)。「台湾〜」のほうは母が「食べ物が出てくる本が好き」と言っていたことと、「今度台湾に行きたい」と言っていたのでぴったりじゃんと思って買ってみた。ヴェイユは「いつか一度は読んでみようと思っているシリーズ」の一環。須賀敦子の本にもち…
4/1(土) 大地が自分を待ちうけているとわかっていながら、空虚を選びとる人間は、充溢の拒否を表し、質量的なものに怖れをいだいていて、何秒か、物理的な空虚を横切ることによって〈永遠の空虚〉の道を渡ろうと願う。 (アントニオ・タブッキ『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』古賀弘人訳 青土社 p138) 4/2(日) 「残念ながら、私が考えることまで禁止なさるわけにはいきませんが」 (G・ガルシア=マルケス『愛その他の悪霊について』旦敬介訳 新潮社 p33) 「どんな狂人も、こっちがその論理を受け入れれば狂人とは言えなくなります」 (p48) 4/3(月) しかし倖せとははかないもので、人間や環境が…
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 401. フランクル『虚無感について』青土社 (2015) 402. 熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』イースト・プレス (2020) 403. ロイ・リチャード・グリンカー『誰も正常ではない : スティグマは作られ、作り変えられる』みすず書房 (2022) 404. 熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』みすず書房 (2022) 405. フランクル『虚無感について』青土社 (2015) 406. フロラ…
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 301. 斎藤環/福山哲郎『フェイク時代に隠されていることについて』大和出版 (2018) 302. 仲正昌樹『現代哲学の最前線』NHK出版 (2022) 303. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 304. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 305. 田中ひかる『アナキズムを読む<自由>を生きるためのブックガイド』皓星社 (2021) 306. 香山リカ『しがみつかない生き方:「ふ…
たとえこの身が泥の塊となりはてても、なにひとつ穢さずにいたい シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』1 を読みました。ざっくりとメモ。 現世で人間が生きていく上で、人間の魂を貶める様々な「重力」が働く 真の善行により作られた真空状態に「恩寵」が入り込む。これが重力による穢れをまぬかれる唯一の道 現世利益や死後の極楽などの見返りを求めずに善自体を目的として善きことをするのが善(たぶん。手段と目的の話?) 社会的に善とされているものは悪の反対の相対的な善。これは真の(超本性的かつ絶対的な)善とは異なる あらゆる安易な道を否定し、究極にストイック(現世での成功や快適な来世などを得るための手段としてのスト…
何の本読んだの? 「自分の意見」ってどうつくるの? 哲学講師が教える超ロジカル思考術 作者:平山 美希 WAVE出版 Amazon Twitterで見かけた際、タイトルで気になり著者の専門がシモーヌ・ヴェイユというのが決め手で購入しました。シモーヌ・ヴェイユの兄であるアンドレ・ヴェイユは数学者で、修士では彼の本を読んでたので凄いつながりを感じました。紙の書籍を予約注文したのですが今Amazonのページを見たら電子書籍もありました...後から電子書籍が追加されることがあるんですね...電子が良かった... タイトルが気になった理由は、私は昔から自分の意見を持ててないと感じてます。ただ、全く意見が…
1週間は早く過ぎる。 あっという間に市民講座も3日目。今回も9時集合。ゆるゆると開始し、午前中はこれまで学んだことの振り返りをグループで。そしてそれをみんなにシェア。これであっという間に11時。 その後、フランスの歴史における重要な人物の紹介。10人ほどを1時間でささっとカバー。クローヴィスからはじまり、フランソワ1世、アンリ4世、ジャンヌダルク、ナポレオン、近代だと中絶を合法化させたシモーヌ・ヴェイユなど。ここ面白いのでもう少し詳しくやってほしかったけど、さら~~~っと終わった。。 ・ 若いフィリピン人ギャルは終始携帯を見ている。そして、自分が作った料理やら、タトゥーやらの写真を見せてくる。…
シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー (河出文庫) 作者:シモーヌ・ヴェイユ 河出書房新社 Amazon 働くことについて考える。 朝から夜まで長時間労働、昼休憩とは名ばかりで、食事どころかトイレに行く暇もない。効率化の名のもとに、人手は減らされ業務は増える。 毎日が仕事に追われ、何か他のことを考える時間も余裕もない。もちろん、転職先を探すゆとりもない。 自分も経験したし、これからも経験するかもしれない。 社会に出て働く人のある程度が、いずれは(あるいは社会に出たとたんすぐに)経験することだと思う。 待遇面で恵まれなくても、その仕事が好きであるなら、あるいは何かの役に立っているなら、多少は働く意義…
注意深いまなざしと好奇心 節度ある、新しい人間らしさ 大江健三郎 2006年4月18日 朝日新聞 長男光が、知的な障害を持っていること、そして私ら家族が、かれの作る音楽を楽しみに、なんとか静かに暮らしてきたことは、たびたび書きました。なんとかというのは、次つぎに困難は起り、かつ乗り越えられたからです。 今年の初めから、私と光は毎日一時間の歩行訓練をしています。私らの住んでいるところは高台の突端に近い場所で、平地に降りて行く長い坂に柵(さく)で囲った遊歩道路がついており、平地に降りつくと、川にそって同じく遊歩道路が続いているのです。 * 光は四十二歳で、成人病の幾つかの現れを注意されています。そ…