今日も昼下がりの公園の隅っこで、 わたしは毛づくろいをしていた。 カサカサと乾いた風に、誰かの苛立ちが混ざってくる。 「ったく……」 リモート会議を終えたばかりのパパ。 リュックの紐は、よじれていた。 電動自転車のスタンドを蹴るように上げて、 ぎこちなくペダルを踏み出す。 ママの指示通り、今日もお迎え担当らしい。 なのに眉間にはずっとシワ。 二人で育てる── それが人間には、どうも難しいみたいね。 わたしなんて、母猫と父猫で当たり前にやってたけど。 それとも、わたしが“ただの猫”だからなのかしら? 仕事が大事? そうよね、 大事よね。 生きていかなきゃならないんだもの。 野良猫の私なんかには到…