午前6時、京都の朝が動き出す。真冬の凍てつく空気の中でも、真夏の容赦ない日差しの下でも、ここには変わらない風景がある。京都駅前、『第一旭』の行列。時間が止まることのない店。暖簾が揺れるたびに、ラーメンを求める人々の熱が交錯する。 君は第一旭を知っているか?吉岡里帆が、まだ東京と京都を深夜バスで往復していた頃、必ず立ち寄った店。夜を越え、疲れを抱え、冷え切った身体をあたためる朝の一杯。その丼の中には、ただのスープや麺ではなく、旅の疲れ、未来への不安、ささやかな希望が詰まっていたに違いない。 物語が詰まった店は特別な味がある。誰かの記憶の断片、人生のワンシーン、色んなドラマ、憶い出を、おすそ分けし…