0.はじめに 2月上旬近所のシネマで鈴木清順作品4K化として所謂浪漫三部作が上映された。 この文章は2月5日に鑑賞した「陽炎座」についてその原作である泉鏡花のそれと比較することでめいめいの「美」について考察してみたい。 更に翌6日に鑑賞した「夢二」と「陽炎座」における女の情念についても分析してみたい。 1.原作と映画は別の作品である このところ,あるマンガのドラマ化が原因で人の死に関わる残念な事件が起き,にわかに「原作」と「別メディア化」の乖離やどうあるべきかが問われている。 本日鑑賞した鈴木清順「陽炎座」も泉鏡花の『陽炎座』とは筋も登場人物も異なる部分があり,映画化というよりは別作品と捉える…