1938年(昭13)雑誌「日の出」連載。 1939年(昭14)新潮社刊。 1954年(昭29)山田書店刊。 1956年(昭31)20世記社刊。 これは名作『坊ちゃん』の後日談の形を取っている。主人公「坊ちゃん」は失職し、豆腐屋の2階に下宿していたが、生活に困窮している。そこに「山嵐」が突然現れ、中国の大連の会社での仕事に誘う。登場人物の性格設定が既になされているので、なじみの人物が別天地の環境でどう行動するのかだけを見守ることになる。外地で偶然にも「赤シャツ」や「野だいこ」にもちょっと再会するが、単なる同窓会風では面白味がないのを作者はわかっていて、「マドンナ」のような役割の女性や、ひと癖のあ…