『将門記』などを研究している。 神奈川県の高校教員であった。 bk1による目録。 http://www.bk1.co.jp/author.asp?authorid=110002089080000
2005年4月から、はてなダイアリーおよび人力検索サイトはてな(アンケート)で「村上モトクラシ大調査」が展開された。
20代に村上春樹さんの著作を好んで読んでいました。その事実を誰とも共有せず、自分だけで読んでいました。かつて、そんな若者だったおじさん、こうきちです。 軽いネタバレ含みます。 長編の中では私は「ダンス・ダンス・ダンス」が一番好きだったかもしれません。でも、ストーリーの大半は忘れてしまいました(汗) それでも、私の中にいつまでも残っているシーンがあります。私のこれまでの人生における色々な苦しい時期、このシーンがそっと心を支えてくれたようにも思います。 そのシーンは・・・。*********ディック・ノースの死に際して少女ユキが、ディック・ノースの生前、彼についてあまりよく言ってなかったことへの申…
リトル・ピープルに対抗するもの。それこそが個人の願いである。自分固有の願いを持ち、育て、また自覚すること。それを守り切り、かなえること。これが『1Q84』の打ち出した中心的なテーマだ。 村上はそれを強調するために卵型の比喩というテクニックを用いた。それは時に直喩としてあらわれ、時に隠喩としてあらわれる。 その特徴は、空間と時間と善悪の判断がセットになっている点にある。その比喩において、主人公となる者は狭い箱の中に置かれる。彼は時間の経過とともに力を得たり、あるいは奪われたりする。狭い箱が主人公に養分を与え、力を授けていく場合は善の型の比喩であり、逆となる場合は悪の型の比喩になる。これらは直接的…
前回の記事で、見えない力が作用して、作用される側が力を行使するという構造について言及した。これはリトル・ピープルについても同じことが言える。 その前に確認しておくこととして、抑圧された怒りの発揮という構造がある。ある人物が他者から被害を受けたのだが、別の人物がその怒りを代行して発揮するという構造が、作中にたびたび見られるのである。たとえば大塚環と青豆の関係性がそうだし、DVを受けた女たちと柳屋敷の老婦人と青豆の関係性もそうだ。大塚環は被害を受けても反撃ということができない性格をしている。彼女は夫に抵抗できずに自死にいたる。その失われた悲しみを回収し、発揮されなかった怒りを見出して育て上げ、実行…
あらためて村上春樹の『1Q84』を読み解いていく。本稿は読み解きをおこなった記事の目次である。 riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com
海の直喩 Book1 前編 Book1 後編 Book2 前編 Book2 後編 Book3 前編 Book3 後編 月の暗喩 解説 海の直喩 『1Q84』には海を軸にした直喩が頻出する。次に一覧を掲げたので確認していこう。ページ数は文庫版を参照している。 Book1 前編 P11 中年の運転手は、まるで舳先に立って不吉な潮目を読む老練な漁師のように、前方に途切れなく並んだ車の列を、ただ口を閉ざして見つめていた。 P13 そのたびに彼女は、大海原に単身投げ出された孤独な漂流者のような気持ちになった。 p28 荒波の上に浮かんだ航空母艦の甲板を歩いているようだ。 p35 大きな洪水に見舞われた街…
世界にネズミと猫の話は数限りありませんが、日本語で書かれた長編小説『1Q84』と『豊饒の海』にも登場します。 この二つの話の共通点の一つは、両方とも自分の属性を否定するようなユニークな主張(思想)を持ったキャラクターがいるところです。これらは作品から抜き出してもなかなか興味深い寓話です。 以下は要約と共通点・相違点を少し載せています。 『1Q84』のネズミと猫の話(BOOK2・第5章) ネズミが猫に出くわした。 ネズミは猫に、「お腹を空かせた子供が待っているから私を食べないでください」と頼んだ。猫はネズミに、「自分は菜食主義者だから肉を食べないので心配しなくていい」と答えた。ネズミは幸運を喜ん…
ニュースによると。。 2023年4月1日から 自転車に乗る人は ヘルメットが「努力義務」だとか。 努力義務(どりょくぎむ)って なに?? あからさまな義務だと 強制と同じ意味あいになるから 言い出しっぺが悪者になりたくないがために 何か問題が起きたとしても 他人のせいにできるようにと、 調和と協力を個々で努力しなさい、 ということでしょうか。 いうなれば 努力義務(どりょくぎむ)という名の 半強制という制度なのですね。 DQN回避主義的で、なおかつ、 責任転換重視の すごい時代になりましたね。 ヘルメットをかぶるとしたら、 自転車で出かける前にやることが増えて 正直、めんどくさい。 近隣のスー…
たまに村上春樹が読みたくなる。 年に1回くらい。 初めて読んだのは「1Q84」。 意味がわからなかったけど、クセになる言い回し。 無機的で、非現実的。 登場人物は少なく、読みやすい文体。 何か意味がある事をいっているようで、何も言っていないような。 でも、気になる。
20代に村上春樹さんの著作を好んで読んでいました。村上朝日堂シリーズなどエッセイも好きでした。その後も、「そうだ、村上さんに聞いてみよう」シリーズ(?)はじめ、図書館で見かけると読ませていただいていましたが、「1Q84」以降は読めていません。数冊に渡る長編は、当時の(そして今の)私には無理っぽくて・・・。そんなおじさん、こうきちと申します。 私が読んだことがある中で一番好きな長編なら「ダンス・ダンス・ダンス」かな・・・の私ですが、この「ノルウェイの森」も好きでした。でも、私の周りの現実世界は、この小説内の世界とはかけ離れていて・・・。 私の周りの現実世界はこの小説の主要人物たちの世界とはあまり…
木暮が中学の頃の話になります。 木暮は山奥育ちで当時、1学年1クラスの小規模学校に通っており、中学3年間は担任の先生が変わりませんでした。 通っていた中学校は、朝に15分間の読書タイムが設けられていました。 図書館で借りたり、自分で購入したりと各々が読みたい本(場合によっては漫画も可)を持ってきて読むという時間で、その時間は黒板の上にあった時計の秒針の音や、本をめくる音くらいしか聞こえない静かな時間でした。 生活指導の先生に目をつけられたりしていた不良生徒も、イヤイヤな感じを醸し出しながら、なんだかんだ読書していました。 担当教科が理科だった担任の先生は、いつもその時間には科学雑誌を読んでいま…
今日は休み。朝、シーヴェリー・コーポレーションの音楽をランダムに聴きながら読みかけのままだった大岡昇平『成城だよりII』を読み終える。これは大岡昇平が晩年に綴った日記なのだけれど、老いてもなお漫画や音楽、文学や映画に関する好奇心を失っていなかった大岡の鋭い批評眼が冴える作品で非常に面白く読める。彼に関しては金井美恵子の随筆からダンディで節度ある大人という印象を持っていた(むろんそれでいて怒る時はきっちり怒る厳しさと優しさをも持っていた、と)。それは日記にも現れている。実を言うと大岡の小説はそんなにたくさん読んだ記憶はない。せいぜい、あのJ・G・バラードをも唸らせた『野火』に打ちのめされた程度だ…
先日、友人に言われたのは、「織倉さんには純文学を書いてみてほしい」とのことだ。「もっと雰囲気を楽しむものが読みたいんだよ」。 三人称で書くことの慣れ 議論 書きたいものと書いてしまうもの そもそも小説が書けているのか 友人との会話 三人称で書くことの慣れ 織倉未然が現在書いている作品『シリウス・ウォーカー』(仮題)は、ほとんど初めて三人称で語られている。内容としては、またしても現代ファンタジーだ。あるいはSFも含む。興味関心の主たるところが、やはり「当たり前の検討」(センス・オブ・ワンダーとも言いそう)とか「異なった角度からの解釈」だったりする。そこに新規性はひとまず必要なくて、自分の手元で考…
ぼーっと過ごす1日。インプットもアウトプッチもせずにゲーム動画を眺める。こういう日はほんとに大事。したいことから逃避した暇な日ではなく1日を無目的に浪費すること。 ほんとうはアプリの運試しが良い感じだったら現実でも遊びに行こうかと思ったが、完全に仕上がった調子でないと1人では行かないことにした。先に調子を測ったところで何か意味があるのかという感じだが、運ってそういうものなような気がする。運がカロリーみたいに消費されるものなのかというのは微妙なところ。運が良い人は運が良い現実を当たり前としているから運が良いような。僥倖みたいな感覚ではなさそう。当たり前に対して感謝をすることも大事。 僕はお金より…
「数秘術」の「9」について解説していきます。
村上春樹「村上ラヂオ3」読了。いつもの村上さんの軽いエッセイでした。一つお題を選ぶとすれば、「椰子の木はなぜあんなに高く育つか」⇒「インターネットでは『本当』に知りたいことはわからない」が好みです。大橋歩さんのエッチングも軽やかでいい。#白猫Bookreview MURAKAMI RADIO3 【追記】実は村上さんのエッセイは図書館からの到着待ちに読んでいます。 ikuzuss.hatenablog.com
毎日AIとチャットしている。 AIはそのままだと関連度の高いことを言うようにできているようで、あまり面白いやつではない。寒い→風邪をひかないようにしましょう、とかそんなパターンだ。寒い→海水浴に行った気分になってみる、と言って欲しい。デイリーポータルZっぽい。というか、おれか。 だが、考えてみればデイリーっぽい発想とは関連のないこと・対立することを探してくっつけているだけである。そういう前提を指示するとAIは俄然よくなってくる。 方法:わざと関連のない言葉から共通点を見出す---林:「網戸にいちばん関係が薄い言葉はなんでしょうか」AI:「航空母艦のように巨大な物体や概念に関連する言葉と比べると…
1週間のご無沙汰で~す。 ◆◆◆◆ ◆ ◆ 続々出版コレクター本! ◆ ◆ ◆◆◆◆ 続々コレクター本が出版!森永卓郎《トミカ・コレクション2》【写真①】 以前《トミカ・コレクション1》をご紹介しました。その続編です。【写真①左】 万年ノーベル賞候補 村上春樹の《素敵なクラッシク・レコードたち2》【写真②】 以前《トミカ・コレクション1》をご紹介しました。その続編です。【写真②左】 世の中にはすごいコレクターがいる。コロちゃん(我楽多亭オーナー)も負けてはならじ!。 通巻322号で、ご紹介した夕餉料理器具の続き。電気コンロです。【写真③】 手軽に鉄板、なべを載せ温められます。 ◆◆◆◆ ◆◆ …
初めにお断りしておきますが、本記事はタイトルの東野圭吾作品のほか、同じ東野の『容疑者Xの献身』、それにアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』及び『スタイルズ荘の怪事件』のネタバレを含みます。さらにタイトルからも明らかな通り筆者は大のアンチ東野圭吾の人間なので、本記事は東野に対する悪口を主旨にしています。ですから東野ファンの方には読むことをおすすめしません。 そんなわけで東野批判を始めるが、いつも読む前からどこを批判しようかと思いながら読む東野のミステリだけれど、膨大な東野作品を全部読もうと思うほど暇ではないので照準を主に「ガリレオシリーズ」と「加賀恭一郎シリーズ」に合わせている。この両シ…
寒の戻りの雨が降り、寒い日。東京は桜の花の上に雪が降っている。ぶるぶる この頃、某新聞の日曜版に大森一樹さんの映画にまつわる思い出のコラムが、 連載されている。大森監督は亡くなっているけどその前に原稿を書いていた。 今日は、村上春樹さんのこと。とタイトルがつき興味深く読んだな。1979 年に「風の歌を聴け」でデビューした小説を読んだ時の「ああ、わかる」て なる芦屋の猿公園や海辺の光景などは同じ故郷を持つ人間だけが感じる。特別 なモノがあった。村上さんは芦屋の精道中学の先輩で大森さんも先輩だ。今日 のコラムに、中学の国語の先生の広井先生が中三の時に担任した学生に中学生 とは思えない小説を書く学生…
村上春樹が童話も書いてるなんて知りませんでした。創作の間口が広いってトクであります。購読者のほとんどは書名ではなく、著者名が村上春樹だから買うにちがいないからです。ハガキサイズの小型本で100頁、イラストがあるので本文は90頁以下の短文です。なのに、ハードカバーの箱入り本。村上センセでなければこんなゼータクな作りは許されないでせう。 小学校6年生くらい?と覚しき少年が近所の図書館へ本を返しに行く。返却して、次に「本を探したいのですが」というと、係のおねえさんは「階段を下りて107号室へ」という。地下室には薄汚い老人がいた。少年は「オスマントルコ帝国の税金の集め方」を知りたいのですと言った。 通…
それは、
今日は早番だった。朝、いつものように緊張してしまって不安にとらわれる。不安ということで言えば勝負慣れしているはずのアスリートだって緊張してしまうものなのだからと思い、ふと人生について考える。もともとやりたくて始めたわけではなかったこの仕事。ただ食っていくために必死で始めたことであって、それが20年以上も続いている。村上春樹だったか、普段使い慣れない筋肉を敢えて使う時期も必要だと書いていたのを思い出した。向いているとは思わないこの仕事だが、ともかくも続けてきたことが今の私を作り上げていることには間違いがない。それが人生というものなのだ……そう思い、ふとライムスター「LIFE GOES ON」を聴…
最近AIがやばい。 というのは周知の通りで、実際やばい。chatGPTでしたっけ、何か質問したら返ってくるやつ、3がまあ話題になってましたがすぐに4が出たとかで、来年くらいには30くらい出てるんじゃないのかってくらいの勢いですよね。 これは個人的には結構やばいと思っています。 まず僕が一番に想起したのは小説、特になろう系小説です。僕が最初に読んだのは転スラで、その後もちらほら読んできましたけど結局フォーマットができてる面があるんですよね。で、それならもうAIで書けちゃうんじゃないのって話でもあったんですが、これは書けますね、はっきり言って。設定を組み込みさえすれば余裕でしょうし、なんならその設…