主に経済面での格差を指す場合が多い。
つまり、富裕層と貧困層に二極化した社会を指す。
具体的には、経済格差・所得格差・情報格差などにより中流社会が損なわれた状態を指す。格差を示す指標に「ジニ係数」がある。かつて日本では、1980年代前半まで総中流社会と呼ばれていたが、バブル期以降に格差社会に突入したと言われている。
「格差社会」は、2006年流行語大賞トップテン選出された。受賞者:山田昌弘(東京学芸大教授)。
社会問題化している要因のひとつに、格差の固定化が、機会の不平等を生む危険性を有する点がある。
身分が固定化された封建制度や、イギリスのように格差が文化的領域まで固定化した場合には階級社会と呼ぶことが多い。
資産インフレの進行により、不動産や証券などを持つものと持たざるものの格差が進行。
企業がリストラを進め、また製造業等が国際競争力を維持するため、人事制度の改革に着手。年功序列的な賃金の廃止や正社員の非正規雇用者への置き換えが行われた。成果主義賃金の導入で若くして高給を得るビジネスマンが出現する一方、低賃金労働者が増大し格差が拡大した。
内閣府は、平成18年1月19日「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」で資料を提出し、経済格差を確認する統計データはないが、ニート、フリーター等若年層の就業・生活形態の変化は、将来の格差拡大要因を内包しているとした。
格差の現状
・格差拡大の論拠として、所得・消費・賃金格差などが主張されるが、統計データから確認できない。
・中流意識は未だ根強いなど、個人の生活実感においても格差が拡大しているという意識変化は確認されない。
・ただし、ニート、フリーターなど若年層の就業・生活形態の変化に、将来の格差拡大要因の可能性に注意が必要。
経済的格差の動向?〜?
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei-s/0601.pdf
OECD 対日経済審査報告書 2006 年版
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20060720japansurvey.pdf
経済格差については、経済統計データを基に把握できる所得格差は、ジニ係数、あるいは他の不平等指数を計算したところ、統計上は全体として緩やかに拡大していることが確認された。要因として、家族形態の変化、高齢者世帯の増加という人口動態などの影響が大きいことが示された。
単身世帯も含めた総世帯の動向を見ると、ジニ係数は99年から2004年にかけてわずかながら低下したことが示された。しかし、この動きは平均所得が低下するなかでの所得分布集中によるものである可能性がある。
年齢階層別のジニ係数の動きをみると、若年層において所得格差や労働所得格差の拡大の動きが確認された。こうした動きは、フリーター、ニートなどの若年層の雇用情勢を反映しているとみられ、将来経済全体の格差拡大につながる可能性があるという観点からも対応が必要である。労働所得でみた格差拡大が非正規雇用の増大とも関係している可能性も示された。現時点では、こうした動きは世帯所得の格差拡大までは直接つながっていないが、正規・非正規雇用に関する動向も、格差の観点からの配慮も必要である。
平成18年度 年次経済財政報告
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je06/06-00000.html
日本の所得格差の動向については、まず特徴として、高齢者世帯間では所得格差が大きく、また、小規模世帯が増加すると所得の少ない世帯が増加したことにより、格差を拡大させた。
これら特徴(高齢化、世帯の小規模化など)の影響を除けば、世帯単位でみた所得格差の明確な拡大傾向は認められないと考えられる。
次に若年層について、収入の低い労働者が増加しているが、今のところ、その多くは親と同居していることなどから、こうした動きは、世帯単位でみた所得格差の拡大に直接つながるものではないと考えられる。
しかし、正規雇用と比べ非正規雇用では職業能力開発の機会も十分ではなく、非正規雇用では職業能力形成も進みにくいため、今後、これらの層が独立しなければならなくなったときに、所得格差が拡大したり、固定化することが懸念される。
最後に、近年の賃金格差の動向については、性・年齢別にみると30 〜 40 歳台の男性労働者で拡大傾向にあり、企業に継続的勤務者に限っては大卒の場合、40 歳台中心に賃金格差の拡大がみられる。さらに、大卒・高卒の学歴間の賃金格差も拡大傾向にある。
平成18年版 労働経済の分析
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/06/index.html