歌劇とは、かつて京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)で運転されていた特急列車。
昭和18(1943)年10月、国策により阪神急行電鉄と京阪電気鉄道が統合し、京阪神三都市を結ぶ「京阪神急行電鉄」となり、総延長距離は213.2kmにも及んだ。しかし、国策により半強制的に統合させられた両社は折り合いが悪く、昭和24(1949)年には分離してしまった。
この分離の際、京阪の路線であった京都線(天神橋駅-京阪神京都駅)・十三線(十三駅-淡路駅)・千里山線(淡路駅-千里山駅)・嵐山線(桂駅-嵐山駅)*1は、阪急側に残される事となった。
そんな中、昭和24(1949)年に、京阪神京都駅(現・大宮駅)〜神戸駅(現・三宮駅)間を結ぶ特急列車が運転を開始*2。当時、京都線系統の架線電圧が1500Vだったのに対し、神宝線*3系統の架線電圧が600Vであった為、双方の電圧に対応可能である複電圧車が使用された。この特急は、京都と神戸の間を70分で結び、好評を博した。
この事があって、翌昭和25(1950)年春に、京阪神京都駅〜宝塚駅間を結ぶ特急「歌劇」が、日曜・祝日限定1往復で運転を開始した。
当初、神宝線系統の810系で運転されていたが、後に、京都線系統の710系列車での運転に改められた。
昭和38(1963)年、大宮駅(もと京阪神京都駅)〜河原町駅間が延伸した際、河原町駅〜宝塚駅間での運転に改められた。
昭和42(1967)年、神宝線の架線電圧が1500Vに昇圧され、全線の電圧が統一された事で、複電圧車を使用しなくても運転が可能となり、運行上の妨げが無くなった。
しかし、翌昭和43(1968)年の神戸高速鉄道東西線開通を前に、運転休止となった。
1963年以前の停車駅。駅名称や停車駅の変更については「備考」で表した。
駅名称 | 読み “えき”は略 | 備考 |
京阪神京都駅 | けいはんしん きょうと | 昭和38(1963)年に大宮駅へ改称*4。 |
西院駅 | さいいん | - |
高槻市駅 | たかつきし | - |
十三駅 | じゅうそう | - |
西宮北口駅 | にしのみやきたぐち | 宝塚行きのみ停車し、京都行きは通過。 |
宝塚南口駅 | たからづかみなみぐち | 後に、利用者減少のため通過。 |
宝塚駅 | たからづか | - |