杣道や頭上に香るミヤマユリ 山道を走っていたら、白く大きいヤマユリがあちこちに見られた。花が重いのでみな傾いて斜面から乗り出すように咲いている。いまはヤマユリの最盛期のようで、目の保養になった。 それにしても豪華な花で、草花としては最大のものの一つではないだろうか。これをプラントハンターであるシーボルトがヨーロッパに持ちかえって大儲けし、やがてカサブランカのような洋ユリに改良されていくのはよく知られた事実である。 ユリといえば思い起こされる万葉集の次の歌は、野趣も情愛も深い。 筑波嶺の さ百合(ゆる)の花の 夜床(ゆとこ)にも 愛(かな)しけ妹そ 昼も愛しけ(大舎人千文(おおとねりちふみ):巻…