白色と紫色がバランスよく混じり合った美しいその花は、日を重ねるごとに紫色の割合が少しずつ少なくなり、今ではほぼ白い花びらだけになっている。私の背丈ほどありそうなあの花、花というかあの木の名前は何というのだろうか。外出できる日があれば、あの家のインターホンを鳴らして、家人に尋ねてみたい気もするが、どこの誰かもわからぬ私がいきなり花の名前を尋ねてきたら、警戒されてしまうかもしれない。ましてや私が目の前に佇むこの病院の患者だとわかったら…きっと気味悪がられるに違いない。 鉄格子で囲まれた窓は八つに区切られており、一番上の二つの窓のうち一つは換気設備でもあるのだろうか、ボックス上のもので完全に閉じられ…