新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1183 「前栽の露置きたるを、などか見ずなりにし」と申しける女に 実方朝臣 おきて見ば袖のみ 濡れていとどしく 草葉の玉の 数やまさらん 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 「庭の植え込みの朝露が置いているのを、どうして見ないままになってしまったのですか」 と申した女に 実方朝臣 起きて朝露の置いているのを見たならば、涙で袖が濡れるばかりで、その涙の玉を加えて、いよいよ草葉の露の玉の数が増すことでしょうか。 意訳 題詞 庭の植え込みに、露がひとしずく置かれておりました――(あなたがいらしてくださらないので) かつての恋人が涙を流…