弘法さん、また来やがったかと、おっしゃらんでください。今日は私事ではないんですから。けっしてレンズなど向けませぬから。とそこへ、銅像前の秋草に蝶が一羽飛来。蝶だけならよろしいでしょう、弘法さん。 友人が亡くなった。まだ還暦前で、私にとっては若き友人の一人だ。遠方にお住いのご家族ご親戚がたがやがてお集りになり、しめやかにご家族葬が営まれる予定と聴いた。荼毘に付される前の亡骸が安置される斎場にて、友人らにお別れの挨拶の機会が許された。 集ったのは、かつて酒場を情報センターとして、気が合ったり趣味が一致したりで交友を深めた仲間たちで、故人と同世代もしくは齢下がほとんどだ。どうやら私が最年長で、すぐ下…