Hatena::ブログ(Diary)

つらつら津々浦々

2018-06-30

2018 4-6月感想(短)まとめ

| 13:33

ちょこまかとtwitterにて書いていた2018年4月から6月の備忘録(一部加筆修正)です。

     ※


【劇 場】

1971年米国の対ベトナム政策を決定的に左右したスクープを巡るワシントン・ポスト紙の攻防を、初の女性社主となったキャサリン・グラハムが直面する同紙の経営問題も絡めつつ描くペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書スティーヴン・スピルバーグ監督、2017)は、単なる実録ドラマに留まらない、現代にも──というか、まさに今日の現実問題に──通ずるテーマを内包した見事な傑作。

メリル・ストリープトム・ハンクスらの繊細な演技、構図や影の濃淡ひとつで状況や感情の機微を切り取るヤヌス・カミンスキーの美しい撮影とリック・カーターの美術セット、自身の健康問題からトーマス・ニューマンが代打した『ブリッジ・オブ・スパイ』(同監督、2015)の音楽性をも取り込んで進化するジョン・ウィリアムズの楽曲などが、見事なアンサンブルを奏でている。企画立案からわずか9ヶ月で本作を完成させたスピルバーグの天才性に驚愕するとともに、なぜ彼がここまで急いだのか、その理由をぜひとも考えてみたい。我々はいつまで「古い時代」に居続けるつもりなのだろうか。まったくもって他人事ではない。


     ○


◆300年に1度、曇天が空を覆うとき復活するとされる伝説のオロチに挑む曇(くもう)兄弟らの闘いを描く曇天に笑う本広克行監督、2018)は冒頭、長回しで映される祭りのファースト・ショットから、画面の太鼓と劇伴BPMがズレているという気合いの入った導入に驚かされる*1。以降も明らかに脚本と、それ以上に演出の練り不足が目立つ。

曇天の期間が判らないためにオロチがいつ復活するのかといったサスペンスが当然のように成り立っていないのは堂に入ったもので、それどころかギャグも感動も同様にちんちくりんな失笑しか──否、すら──生まず、見せ場のアクション・シーンすらとにかく退屈で、そもそも編集が不恰好極まる事態が平気で頻発する。いや、ずっとそれである。

というのも、本作は必要なシーンどころか必要なショットが決定的に欠けているからだ。本作にはショットが足らなさ過ぎて、切り返しという編集の基本概念すら存在が怪しい。基本的に、ただ半端な構図でダラダラ回してテキトーに繋いだだけであるから1ショットが異様に長いゆえに、キメ画もキメ画たりえていない。ことほど左様に、どんなに集中しても映画の世界に入り込めないず、すがすがしいほどツマラナイ。殺意すら沸く。

本作には無闇やたらとヴァリエーションに富んだ予告編や番宣が用意されていたが、劇場に客を呼んだもん勝ち的な体制は、いいかげん見直していただきたいものだ。無論それも大事だが、そればかりではいけない。唯一の救いは、サカナクションによる主題化『陽炎』が、なんとなくゴダイゴテクノプップやった感があって愉快だったのと、上映時間が短かったことくらいだよ! 


     ○


ボードゲームからTVゲームに進化した“ジュマンジ”に吸い込まれた高校生たちが、性格も体格もまったく違う姿となって挑む冒険を描くジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングルジェイク・カスダン監督、2017)は、童貞オタク男子高校生のキョドリ演技を嬉々として披露するドウェイン・ジョンソンを筆頭に、自撮り命の女子高生を演じるジャック・ブラックなど、俳優人のいままで目にすることなかった演技合戦がとにかく楽しい。4人それぞれが心身ともに逆のプレイアブル・キャラクターとなったことで吐露される真のアイデンティティに触れることによって変化・成長する彼/彼女らの姿は感動的だ。

また本作は、主人公たちが挑む冒険を彩るアクション・シーンの構築と見せ方がとてもしっかりしている。TVゲームのなかという設定どおり縦横無尽に展開されるアクションながら、非常に安定したカメラ・ワークと編集によって、近年のハリウッド大作のなかでも抜きん出て見やすいので、安心して映画の世界にのめり込めるだろう。また、本作の日本語吹替え版の出来も、翻訳から演出まで実に素晴らしい完成度だったことを付け加えたい。とても楽しく面白く、ちょっと感動できる本作は、必見の“久々の”続編だ。


     ○


思春期の姿のまま永遠の生命を生きる種族“イオルフ”の少女マキアが、大国の侵略によって故郷を追われた先で偶然に拾った、母を亡くした人間の赤ん坊を育ててゆく姿を描いたファンタジー長編アニメーションさよならの朝に約束の花をかざろう岡田麿里監督、2018)は、生命感溢れる精緻な作画、実在感のあるプロダクション・デザインと背景美術の数々は素晴らしく、達者な演者たちによるパフォーマンスと川井憲次による音楽はその画に情感を添え、シーンごとでの演出力はたしかにたいへん高く、見応えがある。

しかし本作は、圧倒的に尺が足りていない。それはラスト・シーンに集約されているだろう──「その思い出を、僕ら観客は共有してないよ」、と。本作のやりたいことはわかるし、その力量はたしかにあるが、いかんせん映画という時間的制約の範疇に収まりきる物語量ではない。だから見せ場だけが足早に過ぎ去り、本来なら画とアクションでみせるべき感情表現が安直な台詞に落とし込まれてしまう。TVシリーズ1クールなりかけて丁寧に物語を紡げていれば、より感動も大きかっただろう。だが、これだけの規模のものが劇場公開という枠組みでなく成立するのかどうか、素人目にはむつかしいところでもあり、なんというか非常にもったいない作品だった。


     ○


◆今年1番楽しみにしていたにも関わらず、入院のためずっと劇場に行けず、滑り込みでようやっと観たレディ・プレイヤー1スティーヴン・スピルバーグ監督、2018)が、期待をはるかに超えて面白くて楽しくて、観ているあいだ、ずっと鼻血を吹きそうだった。

未来世界のメガ・ストラクチャー描写や、前半に描かれるデロリアンと金田バイクたちのレースをはじめとした、目のくらみそうな画面の情報量にも関わらず、この観易さたるや! 5年ぶりくらいに3D上映を観たけれど、まったくストレスなく観ることができた。映像や演出もさすがのスピルバーグ印なら、映画やサブカルに対する劇中での落とし前のつけ方も素晴らしい。本作の原作小説が憬れ、また、ここ10年来作られてきた数々のサブカル・リスペクト映画がオマージュパロディを捧げ続けてきた'80-'90年代──そしていまもなお──カルチャーの最前線を走ってきたスピルバーグだからこそ、彼の作品を観て育った──彼が育ててくれた──僕たちへの温かく優しいメッセージだと受け取りたい。とにもかくにも、本作について現時点で言えるのは、ただ「ありがとう、スピルバーグ、ありがとう」ということだけだ。


     ○


◆のどかな湖水地方を舞台に人間とウサギたちが骨肉の争いを繰り広げる、ビクトリアス・ポター原作の実写映画化ピーターラビットウィル・グラック監督、2018)は、最初に公開された特報の雰囲気など微塵もない、ブラックでバイオレントな笑いを畳みかけてくる快作/怪作。

ピーターたちや、彼らを邪険にする新しいお隣さんのトーマスが互いに容赦なく殺し合う様子を、スピード感あふれるアクション演出を用いて不謹慎が過ぎるくらいにコメディ──しつこな天丼ギャグが効果的──として撮っているため、観ているこちらにも知性と理性を要求するパイソンズ的な毒っ気の効いた1本だ。それにしても、ニワトリのJWルースター2世の日本語吹替え版(演・千葉繁)はズルイよ!


     ○


悪徳企業の陰謀によって巨大化・凶暴化した動物たちと、元特殊部隊隊員の動物学者ドウェイン・ジョンソン骨肉の争いを繰り広げるランペイジ 巨獣大乱闘ブラッド・ペイトン監督、2018)は、キラー・ショット満載の楽しい楽しい怪獣映画だった。巨大なアルビノのゴリラ“ジョージ”とガチンコで対峙するドウェイン・ジョンソンという画だけで100点の作品だが、邦題のサブタイトルに恥じない巨獣たちの暴れっぷりは実に爽快。

彼らの活躍を盛り上げる、あくまでもシンプルなシナリオはテンポがいいし、大都市シカゴを舞台としたクライマックスでのアクションと破壊描写は、バリエーションに富みながら整理整頓されて構築されているので、とても観易い。ジョージをはじめ、巨獣たちのデザインから、本作は“キングコングの息子対バラン対アンギラスドウェイン・ジョンソン”でもあり、そういう意味でも眼福な作品だった。欲をいえば、冒頭のプロローグがやや冗長かな。


     ○


◆2万年後の地球を蹂躙する超巨大怪獣ゴジラと人類の闘いを描く長編アニメ・シリーズ第2部GODZILLA 決戦機動増殖都市静野孔文瀬下寛之監督、2018)は、虚淵玄らによる新怪獣の意外な設定や物語大筋そのものは、こういう解釈や展開もありと思うし、重低音の効いた熱戦や銃撃、初代ゴジラの断末魔をブラッシュアップしたサウンド・エフェクトなどは、かなり聴きごたえがあった。

しかし本作は前作同様、いくらなんでも演出が稚拙すぎる。相変わらず人気声優によるキメ台詞的なものに頼りすぎではないか。それぞれのシーンごとに膨大で説明的な台詞量が用意されるばかりか、本作は前半1時間、同じ台詞内容を直後のシーンで延々オウム返しすることを繰り返す。これでは展開のテンポを悪くする一方だ。

くわえて、その台詞のやりとりとシーンの繋がりに一貫性がないので、さらにモタついた印象を受ける。たとえば、劇中でパワードスーツを改良する際、「すべて機械化するから、操縦者の搭乗を考慮する必要はない」という内容の台詞の直後に、その改良型機を有人で試験運転させてしまう。一応、それから30分ほど経ったクライマックスにおいて台詞内容は回収されるが、これは単に都合の悪いことを都合よく割愛しただけであって、伏線とは呼べない──本作のサスペンスは基本的にこういった後出しジャンケンである──のではないか。だいたい、前作をふくめてなんの脈絡もなかった主人公とヒロインとの2回に渡るラブ・シーンや、肉食植物的なヤツのシーンなど、どう考えても1シーンにまとめられたものを意味もなく分割し過ぎである。話下手か!

それと同様に、空間の見せ方がデタラメ過ぎて、どこに誰がいて、なにがあって、どれくらいの大きさなのかといったことが非常に判りづらい。したがって、せっかくの見せ場であるクライマックスにおいてさえ“ゴジラ・アース”や“機動増殖都市”がどれだけ巨大で広大なのか──台詞ではひたすら「デカイ広いスゴイ」とおだてあげられるが──実感もわかず、アクションも乗り切れない。そして、やはりそこにいるはずなのにいては都合の悪い“その他大勢”の人たちは、都合よく画面から消えるばかりである。

ことほど左様に本作は前作同様、非常に鈍重な作品となった。いっそ40分くらいのほが、まだよい。残念。最終部である次回作において完成度的な巻き返しがあるのかどうか、今冬を期待して待ちたい。


     ○


◆6つ集めれば世界を思いのままにできるといわれる“インフィニティ・ストーン”を求めて地球を狙う最強の敵サノスとアベンジャーズとの闘いを描いたアベンジャーズ/インフィニティ・ウォーアンソニー・ルッソジョー・ルッソ監督、2018)は、MCUシリーズのうち何本かを未見のまま鑑賞した身であっても、キャプテン・アメリカをはじめ何人ものヒーローたちに過たず見せ場を与えつつ適確にストーリーを進め、かつルッソ兄弟演出の真骨頂ともいうべきソリッドな、しかし整理されて非常に観易いアクション演出、そして神の道を歩まんとする悪役サノスのキャラクター性の新鮮さ、そして予想だにしなかったラストの展開など、非常に見応えがあった。欲をいえば、ちょっと各ヒーロー同士のジャレ合い(ユーモア)シーンに尺を取りすぎな点と、も少し一般の人々が世界の危機に翻弄されるさまを描いたほうがよかったのではないかしら。それにしても、今後どのようにMCUを展開してゆくのかが俄然楽しみになる1作だった。


     ○


◆みんな大好き俺ちゃん映画の続編デッドプール2デヴィッド・リーチ監督、2018)は、見応えのあるアクションと、露悪に自虐からパロディまで、これでもかと小ネタに小ネタを──もはやハッキリいって冗長ではないかというくらい──パンパンに詰め込んでおきながら、それでもなお、いま現在あり得べき正義のヒーロー譚として昇華してしまっている最高の続編となっていた。

それにしても、冒頭のツカミとモノローグに始まって、感涙のクライマックスに劇伴までシレッと流用するなんて、デップーどんだけ『LOGAN/ローガン』(ジェームズ・マンゴールド監督、2017)好きなんだよ! 俺も大好きだけどな!


     ※


【ソフト】

◆自らの孤独とセクシャリティに悩みながら、居場所とアイデンティティを求め続けるシャロンの姿を描くムーンライト(バリー・ジェンキンス監督、2016)は、彼の魂の彷徨を映す映像が本当に美しい。撮影後のデジタル処理によって、さりげなく、しかし徹底的に調整された画面の色彩は、本作のドラマをよりいっそう詩的で、情緒溢れるものにしている。本作を構成する3章それぞれに別々のフィルムの感触を擬似再現していることからも、そのこだわりぶりが伺える。シャロンの内面にそっと触れるような音楽演出も見事な、傑作だった。


     ○


◆伝統ある百人一首の団体「皐月会」を巡る連続爆破殺人事件に挑む名探偵コナン から紅の恋歌静野孔文監督、2017)は、なるほど公開時twitterのTLが「せやかてせやかて」と盛り上がっていたのも頷ける服部平次遠山和葉の活躍ぶりと、開き直ったかのように爆発し続ける劇場版的展開が思う存分楽しめる。そのいっぽう、謎解きの要素──とくトリックの部分──がちょっと弱かったのが残念。あるいは、クライマックスの舞台となる“ある建物”の特性について、事前の検分シーンを挿入するなど、もうすこし丁寧な前振りがあれば、展開がよりサスペンスフルになったのではないかしらん。


     ○


◆ファッション・モデルとしてのし上がるヒロインを襲う業界の闇を描いたネオン・デーモンニコラス・ウィンディング・レフン監督、2016)は、思いがけず抽象性の高い御伽噺のようなホラー。レフン監督らしい彩度の強い映像美と、見た目だけが勝負のモデル業界よろしく画面の表層だけを汲み取るかのような演出──キャラクターの内面描写をメイクの変化だけで描いてみせたり、など──が独特の余韻を残す。


     ○


ジャッキー・チェン演じる刑事が麻薬王逮捕のために、詐欺師を相棒にユーラシア大陸を縦断する羽目になるスキップ・トレースレニー・ハーリン監督、2016)は、アクションをはじめとするジャッキーのパフォーマンスは楽しくて見事というほかないが、いわゆる観光映画的にねじ込まれたモンゴル中国を縦断して香港に(基本)歩いて帰るという「水曜どうでしょう」ばりの脚本には無理がある。だって、いくらなんでもタイム・サスペンスとして成立してないんだもの! なんとも残念だ。


     ○


カナダの山岳地帯にある別荘に出かけたマットたち6人が遭遇する未知の恐怖を描いたPOVホラーグレースフィールド・インシデントマチュー・ラザ監督、2017)は、登場人物の全員が清々しいほどバカばっかりなので、恐怖演出を頑張っているわりに緊張感に欠けるのが残念といおうか微笑ましいといおうか。けれど、事故で失った片目の義眼に超小型カメラを仕込んだ主人公という設定を活かしたシームレスなシーン転換の編集──観客の観ている映像(直前のシーンの末尾)、実は録画映像を主人公が“いま”観ている主観映像だったことが判る──など、ところどころは見所もある。まあ、まばたきが録画されていないのはご愛嬌か。それにしても、クリーチャー・デザインせよ物語のオチにせよ、妙に見覚えがあるなァと思っていたが、『リターナー』(山崎貴監督、2002)だ、コレ。


     ○


ソウル駅を中心にゾンビ災害が巻き起こるソウル・ステーション/パンデミックヨン・サンホ監督、2016)は、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(同監督、2016)へ続く前日譚的長編アニメーションで、同じくたいへん面白かったが、まったくの真逆ともいえる味わい。冒頭から幕切れにいたるまで、シビアで無惨で、なにより厭なイヤァな展開がこれでもかと繰り広げられる地獄のような本作は、人間や社会の持つダークサイドを徹底的にあぶりだしてみせる。


     ○


◆ネット・ミームとして広まった“スレンダーマン”を、あのダグ・ジョーンズが演じたPOVホラー都市伝説: 長身の怪人』(ジェームズ・モラン監督、2015)は、洋画ホラーとしては意外にも静謐な恐ろしさに溢れた作品だ。ミームのもととなった加工画像がそうであるように、ちょっとした予兆を経たのち、画面の奥に、はたまたフレームの端に、ふいに映りこんでいるスレンダーマンの姿を見つけてしまったときは、なかなか怖い。いうなれば本作では、カメラを通してしか見えないという独自の設定を活かした、Jホラー的実録心霊動画スタイルが貫かれており、カメラのデジタル・ノイズを巧みに使った恐怖演出も効果的。日本初公開時のタイトルは『スレンダー 長身の怪人』。


     ○


◆タイトルどおりの内容であった『燃えよ! じじぃドラゴン 龍虎激闘』デレク・クォック、クレメント・チェン監督、2010)は、脚本がヘンテコ──主人公の青年への感情移入のできなさは異常──だとか、変なエフェクト入れなきゃいいのにとか、雑で微妙な部分もたしかに多い。けれど、知らず知らずのうちに出会っていた往年の顔ぶれと一同に再会できて懐かしい。ラスト・バトルはちょっと泣いた。


     ○


妖怪ハンターとして食うや食わずの旅路を行く三蔵法師たちの冒険を描いた西遊記2〜妖怪の逆襲〜ツイ・ハーク監督、2017)は、チャウ・シンチーツイ・ハークとが持つそれぞれの奇想天外さがいい具合にマッチングしており、ギャグもアクションも特撮もブッ飛んでいて面白い。スー・チー以外のメイン・キャストをまるっと変更して──孫悟空をホアン・ボーからケニー・リンへという似ても似つかないリ・キャスティングも逆に笑える──も、それなりに成立してしまうのは、題材の持つ強固さか。それにしても、前作に続いて日本語吹替え版の出来のいいこと!


     ※


【ソフト(TVドラマ)】

テレビ東京旧社屋に残された大量の未確認素材をチェックする部署に配属されたAD常田大陸らが見舞われる怪奇現象を描いた深夜テレビドラマ『デッドストック〜未知への挑戦〜(全11話)』(権野元、三宅隆太、森達也監督、2017)は、毎話冒頭に挿入される“いわくつきの恐怖映像”をかつてのVHS時代の映像的質感で再現することをアリにした物語的仕掛けがまず面白い。そしてなにより、その揺らめき濁った映像と、その後に展開されるHD映像によるホラー演出が怖い、でも怖すぎない、だがしかし怖い絶妙な按配でグイグイ引き込んでくれる。深夜、なにも知らずにチャンネルをまわして本作に当たったら、よほど思い出深い出来事になったろう。基本的に1話(30分)完結形式でとっつきやすいうえ、全体を貫くクリフハンガーもあって一気に観てしまった。

*1:この、空撮からの逃走犯の背後を追尾する長い長いショットの最初に映る橋の中央に、よく観ると曇天下の後ろ姿が小さく映っている。おそらく作り手としては、やがて追走劇のすったもんだののちに、待ち構えていたかのような天下に犯人が御用となることの伏線のつもり──実際、この追走シーンはそういった顛末を辿る──なのだろう。しかし、天下が祭りを楽しんでいるようで実は周囲の気配を機敏に察しているかのようなショットがその後カットバックされるでもなく、位置関係もへったくれもなく適当な祭りの群集が挿入されるだけで唐突に天下が登場するので、そのようには作用していない。いや、多分『007 スペクター』(サム・メンデス監督、2015)の冒頭的なことをやりたかったんだろうけどさ、こっちはちゃんとバンドと劇伴BPMをきちんとマッチさせるところからちゃんとやってるからね!

2018-04-02

2018 1-3月感想(短)まとめ

| 10:04

ちょこまかとtwitterにて書いていた2018年1月から3月の備忘録(一部加筆修正)です。


     ※


【劇 場】

◆奇抜なアイディアとケレン味、そして行き過ぎたユーモアに溢れるアクションを前作から十二分に引き継いだキングスマン: ゴールデン・サークル』マシュー・ヴォーン監督、2017)は、しかし一方で展開をあれもこれもと盛り込みすぎの嫌いがあって、いささか感情のやり場に困った作品であった。


     ○


◆劇場公開“も”するOVAガールズ&パンツァー 最終章 第1話』水島努監督、2017)は、そのメディアの性質上「えっ、そこで終わるの?」という物足りなさはあるが、それなりにいいぞ……てな印象。戦車ばかりでなく、キャラのアクションも豊富で楽しい。そうとも、戦車の砲弾とは、よけるものなのだ。


     ○


スティーヴン・キングによる大長編小説の映画化ダークタワーニコライ・アーセル監督、2017)は、小説の壮大さにはもちろん欠けるが、精緻に描かれた画面とケレンのあるアクション・シーン、95分の尺にテンポ良くまとまった構成など、SFアクションというジャンルものとして十二分の出来映えだ。


     ○


◆近未来、気象の完全掌握を可能にした衛星システムが、謎の暴走にみまわれて世界が大変なことになる超ディザスター映画ジオストームディーン・デヴリン監督、2017)の良かった点は、上映時間が2時間以内であることと、都市破壊シーンが夜間でも適度に明るくて観やすかったことの2点、以上です。


     ○


◆紳士なフレンズ、もといクマが活躍するパディントン2ポール・キング監督、2017)は、絶妙な存在感パディントンが魅せるスラップスティックさに抱腹絶倒しながらも心温まる見事なコメディ。往年のチャップリンキートンへのオマージュにくわえ、ウェス・アンダーソンからの影響も興味深い。


     ○


◆鳩と二挺拳銃のマエストロ翁が一大日本ロケを敢行したマンハントジョン・ウー監督、2018)は、なんていうか、変わらねえなあこの爺さんはというか、遅れてきた’90年代アクション映画というか、絶妙にたまらんものがあるですな。


     ○


◆唐の都・長安を舞台に、若き空海詩人白楽天が妖猫の呪いの謎に挑む夢枕獏の小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』の映画化空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』チェン・カイコー監督、2017)は、絢爛な巨大セットが持つ力み加減と、あいだの演出における絶妙な緩み加減の按配が、どこか’80年代角川超大作を思い出す感触。角川映画らしいといえばらしい。


     ○


◆タリス銃乱射事件(2015)を映画化した15時17分、パリ行きクリント・イーストウッド監督、2018)の、けっして“劇映画”向きとはいい難い実話ベースの脚本──しかも本人ら主演──を、たしかに不思議な感触だが、かくもソリッドにまとめ上げてしまうイーストウッドの手腕の凄まじさよ! 感嘆。



◆音楽を憎む一家のなかでただひとり音楽を愛する少年が黄泉の国を彷徨うリメンバー・ミー(リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ監督、2017)は、スリリングで面白く、黄泉の国を彩るなんとも知れぬ総天然色が美しく、そして本当にいい映画だった。邦題原題を超えた久々の例ともなった。


     ○


◆謎多きアフリカの小国“ワカンダ”の国王が活躍するMCU作品ブラックパンサーライアン・クーグラー監督、2018)は、アフロ・フューチャリズムを徹底的に具現化した意匠や美術が美しく新鮮。また、思いのほか暴力描写が容赦ないところもよかった。主人公たちのルーツを巡る旅路と葛藤が胸を打つ。


     ○


◆人気ゲーム・シリーズの実写リブート『トゥームレイダー ファースト・ミッション』ローアル・ユートハウグ監督、2018)は、アクションの見せ方や謎解きの面など惜しいところがそこかしこにあるし、画面がもうちょっと明るければなと思う部分もあるけど、 トレーニングによって肉体改造を経たアリシア・ヴィキャンデルの熱演と、敵味方が怪我を負いながらジタバタ戦うという割と泥臭いアクション演出の感じもあって、かなり「好き!」な作品だった。3作くらいは、ぜひ続けてほしい。原作ゲーム(2013年のリブート作)でララ・クロフトを演じた甲斐田裕子を登用した日本語吹替版もイイ出来。


     ○


サーカス創始者P.T.バーナムの半生を描くミュージカルグレイテスト・ショーマン(マイケル・グレイシー監督、2017)は、古色蒼然たる総天然色と意匠による往年の黄金期ミュージカル映画的な画面の手触りと、今日ならではのビートやテーマ性とが融合した、ジャンルを刷新する意欲作だった。


     ※


【ソフト】

◆恥ずかしながら、続編の存在すら知らなかったクリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』オリヴィエ・ダアン監督、2004)は、たしかにリュック・ベッソンによるオリジナル脚本には細かいツッコミが多々あるが、しかし演出がかなり巧みで最後まで楽しく観られるオツな1本だった。


     ○


◆かつて悔恨を残した遺跡に再び挑む羽目になったトレジャー・ハンターたちの冒険を描く『ロスト・レジェンド 失われた棺の謎』(ウー・アールシャン監督、2015)は、実に“ちょうどイイ”按配。少年時代に木曜洋画劇場とかで偶然観たらドハマリしそうな感じって伝わりますかね。吹替えも贅沢なつくり。


     ○


◆全篇主人公主観のアクションSFハードコアイリヤ・ナイシュラー監督、2015)は、主観カメラのみで進行する映画ながら、豊富なアクションのアイディアと見せ方の工夫、劇中の設定を用いた自然な編集も相まって、かなり観易く面白い。ただし作品の性質上、僕含め弱い人は酔うので休み休み観よう。


     ○


◆清掃局と思われたバイト先が実はキョンシー退治の専門業者だった霊幻道士/こちらキョンシー退治局』ヤン・パクウィン、チウ・シンハン監督、2016)は、キョンシーものに『ゴーストバスターズ』と『ベスト・キッド』、そしてなにより『ヒックとドラゴン』を見事にブレンドし、スマホの使い方など、そこかしこに新鮮なアイディアを盛り込んだなかなかの一品だ。いやほんと、翻案のお手本みたいな映画だった。見事なり。


     ○


◆本当は劇場で観たかった三島由紀夫原作の『美しい星』吉田大八監督、2017)を遅ればせながら観た。ハッキリ言って、たしかに本作はパッと見トンデモ映画に属することは間違いないかもしれないが、しかし、本作もまたこれまでの吉田監督作同様に、客観的には常軌を逸したようにも思える虚構にすがることが、当人のささやかな、しかし切実な救いになることを複眼的にまざまざと見せ付けられるような作品だった。上映開始40分を境に激変する本編のテンションや編集、音楽使いなど、面白くって胸をグサグサ突かれるところ目白押しで最高だ。本当に吉田監督の映画は観るのに体力が要るなあ。


     ○


死亡事故が起きた演劇の再演前夜に巻き起こる恐怖をPOVで描いた死霊高校』(クリス・ロフィング、トラヴィス・クラフ監督、2015)は、米本国では低評価らしいが、これがなかなか面白い。件の演劇を巡る因縁が呼び込む物語的円環構造、静かに忍び寄る死霊など洋画ホラーとしては地味、だがそこがいい。


     ○


◆爆発が過剰なシリーズの第5作トランスフォーマー/最後の騎士王マイケル・ベイ監督、2017)は、実写とCG入り乱れる目を見張るような画の情報量にくわえて脚本があまりに支離滅裂なので、ついていくだけでも疲労困ぱい。なにを思って3種の縦横比をショットごとに混在させたのかも、謎を残す。


     ○


◆人気海賊シリーズ第5作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ監督、2017)は、まずまず面白いが、アクションの見せ方が絶妙に下手で、痒いところに手が届かないもどかしさ。やっぱり、ヴァービンスキー(1〜3監督)はアクション演出が巧いね。


     ○


宇宙ステーション版“ニューヨーク1997”映画ロックアウト(スティーヴン・セイント・レジャー、ジェームズ・マザー監督、2012)は、良くも悪くもヨーロッパ・コープ製らしい雑多な面白さとユルさの混在している作品だが、本作はとにかく日本語吹替え版の出来が最高なので、一聴の価値あり。


     ○


モスクワ郊外に巨大宇宙船が墜落する『アトラクション 制圧』(フョードル・ボンダルチュク監督、2017)は、ID4かと思いきやスターマンでトワイライトで、ちょい第9地区という、なんともヘンテコな作品だった。ただ、冒頭の宇宙船墜落シーンと、それによって半廃墟と化す街の美術は見事な出来栄え。


     ○


江戸時代、師の行方を辿り日本に潜入した宣教師が、増勢する切支丹弾圧の現実に“転ぶ”までを描く遠藤周作の小説の映画化沈黙 -サイレンス-マーティン・スコセッシ監督、2016)は、素っ気ないほどの演出のなかに発露する暴力の空気が恐ろしく、ある種の潜入捜査モノとしてもソリッドで面白い。


     ○


◆張込捜査のために痴呆気味の老婆の部屋を間借りした刑事コンビのもとに、家出少女が転がり込む『OVER SUMMER 爆裂刑事』(ウィルソン・イップ監督、1999)は、やがて擬似家族となる4人をほがらかに映す人情喜劇の側面が味わい深い。後半、映画史上でもトップクラスに緊張感溢れる晩飯シーンは必見。


     ※


TVアニメ

◆すっごーいと評判だったTVアニメけものフレンズたつき監督、2017)をようやっと観た。ほんわかとしたキャラクターデザインや「狩りごっこ」という台詞が示すように、基本的にはお遊戯のようなユルさで進むにも関わらず、展開や画面のそこかしこに絶対的な虚無や死の香りがにおい立っていて、観ていると、楽しさのなかになんとも知れぬ不穏な感覚が立ち上ってくる。本作について「実質、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』(早川書房、2002)のアニメ化ともいえまいか」という声を伝え聞いていたけれど、それも納得だ。正直、こんなに夢中になって観られるとは思ってもみなかった。たいへん面白かったです。


     ○


◆先日読んだ原作漫画(コトヤマ小学館、2014-)が面白かったので、TVアニメ第1期『だがしかし』高柳滋仁監督、2016)を観た。原作の精緻な作画を継承しつつ、1話8頁という作話を丹念に解きほぐし再構成した見応えのあるアニメ化だった。ただ、原理的に終われないのは、昨今のアニメ事情的にやむなしか。

2018-01-01

2018

| 03:08

f:id:MasakiTSU:20180101030901j:image

2017-12-24

2017年映画ランキング(映画館鑑賞作品) + 鑑賞作品リスト

| 10:37

すっかり開店休業状態なので恐縮ですが、今年僕が映画館で観た映画(39本)を備忘録としてゆるやかなランキング形式──“○”で区切られたなかは、ほぼ順不同くらいの気持ち──で並べております。なお、地方在住者であることに加えて、筆者の偏食具合から、かなり偏った作品リストになっていることをご容赦ください。それでは皆様、"Have yourself a merry little Christmas"

※気まぐれになんらかのコメントを書いた作品は、タイトルの後ろに記事へのリンクを貼っています。


     ▼



LOGAN/ローガンジェームズ・マンゴールド監督、2017)……記事参照

ブレードランナー 2049ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2017)……記事参照

新感染 ファイナル・エクスプレスヨン・サンホ監督、2016)……記事参照



     ○



猿の惑星: 聖戦記』マット・リーヴス監督、2017)……記事参照

エイリアン: コヴェナント』リドリー・スコット監督、2017)……記事参照

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』新房昭之総監督、武内宣之監督、2017)……記事参照

スター・ウォーズ/最後のジェダイライアン・ジョンソン監督、2017)……記事参照

ダンケルククリストファー・ノーラン監督、2017)……記事参照


夜は短し歩けよ乙女湯浅政明監督、2017)……記事参照

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。アンディ・ムスキエティ監督、2017)……記事参照

ラ・ラ・ランドデミアン・チャゼル監督、2016)……記事参照

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(ロジャー・スポティスウッド監督、2016)……記事参照

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックスジェームズ・ガン監督、2017)



     ○



『フェリシーと夢のトウシューズ(エリック・サマー、エリック・ワリン監督、2016)

ハクソー・リッジメル・ギブソン監督、2016)

オリエント急行殺人事件ケネス・ブラナー監督、2017)……記事参照

ひるね姫〜知らないワタシの物語〜』神山健治監督、2017)……記事参照

ワンダーウーマンパティ・ジェンキンス監督、2017)


散歩する侵略者黒沢清監督、2017)

キングコング: 髑髏島の巨神』ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督、2017)……記事参照

『22年目の告白─私が殺人犯です─』入江悠監督、2017)

『ライフ』ダニエルエスピゾーサ監督、2017)

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』FROGMAN監督、2017)……記事参照



     ○



ローガン・ラッキースティーブン・ソダーバーグ監督、2017)

『バリー・シール/アメリカをはめた男』ダグ・リーマン監督、2017)

『T2 トレインスポッティングダニー・ボイル監督、2017)……記事参照

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちティム・バートン監督、2016)

『ワイルド・スピード ICE BREAK』(F・ゲイリー・グレイ監督、2017)


アサシン クリードジャスティン・カーゼル監督、2016)……記事参照

ザ・コンサルタント(ギャビン・オコナー監督、2016)

ジャスティス・リーグザック・スナイダー監督、2017)

怪盗グルーのミニオン大脱走カイル・バルダピエール・コフィン監督、2017)……記事参照

ゴースト・イン・ザ・シェルルパート・サンダース監督、2017)……記事参照



     ○



バイオハザード: ザ・ファイナル』ポール・W・S・アンダーソン監督、2016)……記事参照

キング・アーサーガイ・リッチー監督、2017)

バイオハザード: ヴェンデッタ(辻本貴則監督、2017)……記事参照

メアリと魔女の花米林宏昌、2017)

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女アレックス・カーツマン監督、2017)


GODZILLA 怪獣惑星静野孔文瀬下寛之監督、2017)……記事参照



     ○



【以上39作品】



     ○



2017年鑑賞映画リスト(開いた後、さらに「オリジナルサイズを表示」ボタンをクリックすると、よりお読み易くなります)

f:id:MasakiTSU:20171231233019p:image

2017-12-20

2017年残りの雑記。

| 19:35

ちょこまかとtwitterにて書いていた備忘録(一部加筆修正)です。


     ○


◆陸・海・空の3視点が交錯するダンケルククリストファー・ノーラン監督、2017)は、古くは『イントレランス』(D・W・グリフィス監督、1916)、最近では『クラウド アトラス』(ラナ・ウォシャウスキートム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー監督、2012)にあったような時空変形圧縮型の編集と凄まじい撮影の美しさで、まさに観客自身が戦争状態にあることを複眼的に楽しめる(怖がれる)戦争映画の新たな傑作。ハッとさせられるラストの音響演出にも注目。


     ○


◆シリーズ最新作エイリアン: コヴェナント』リドリー・スコット監督、2017)は、エイリアン×失楽園×ギリシア神話×北欧神話×創世記×新約聖書×シェリー夫妻×クラーク等々という様々なサブ・テクストとコンテクストが乱交する、諸星大二郎的四方山SF大作として超愉快だった。


     ○


◆実話をベースにした猫映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(ロジャー・スポティスウッド監督、2016)は、いかにも感動ドラマ然とした大仰な演出を徹底的に廃した淡白でアッサリとした風味なのが実によかった。画面内のちょっとした変化が、押し付けがましくなく、じんわりと身に染みる。


     ○


◆もはや実写としか思えない毛並と皮膚の質感と存在感に戦争映画史への愛をヤマと詰め込んで、現実世界への痛烈な風刺とオリジナル・シリーズからの小ネタをまぶしたシリーズ第3作猿の惑星: 聖戦記』マット・リーヴス監督、2017)は、シーザーの辿る旅路として、見事な大団円を迎えていた。


     ○


◆劇場で見逃していたトリプルX: 再起動D・J・カルーソー監督、2017)は、なんつうか、もうね、やったァ─────────ッ!!!! Fuuuuuuuuu ((((.˙∠)))) F*ckin' yeah!!!! みたいな、たのしいたのしいえいが。ドニー・イェントニー・ジャーなど人種性別を問わずワールド・ワイドに起用しつつ、正直に真っ向からB級(バカ)アクション映画として振り切った実にマジメな造りで、ついでに世界の危機も救っちゃうとか、よくわからんが心は洗われるぞ。


     ○


◆人気flashアニメ秘密結社鷹の爪』シリーズの劇場版新作DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』FROGMAN監督、2017)は、毒っけの効いたギャグが盛りだくさんで楽しい作品だった。安田顕が声をあてたジョーカーもよかったなぁ(力むと素が出るところも含めて)。


     ○


◆ただひたすらブレードランナー 2049ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2017)は美しかった……。嘆息。


     ○


◆遠未来の地球を舞台にしたパワード・スーツもので、かつアニメゴジラをやるというコンセプトはすごくいいGODZILLA 怪獣惑星静野孔文瀬下寛之監督、2017)だったが、その他諸々が雑過ぎやしまいか。音量や設定をデカくして、人気声優にキメ台詞を連発させとけばいいってもんじゃないよ。


     ○


スティーブン・キング原作のホラーIT/イット “それ”が見えたら、終わり。アンディ・ムスキエティ監督、2017)は、劇中に映るポスターや看板が示すように、超凶悪なティム・バートン映画──そのほか、あの悪夢怪人が跋扈する作品など、舞台となる1980年代の映画がこっそり映っている──といった趣で面白い。なかでも、最初に画面に登場するポスターや印象的なロケーションから、とくに『ビートルジュース』(1988)を髣髴とさせる(きっとダニー・エルフマンのブンチャカと騒がしい音楽と差し替えても、ある意味イケるのではないか=暴論)。それにしても、ムスキエティ監督の演出は、じつに腰の据わっていて上品。瑞々しいジュブナイル要素と、計算しつくされた画と間で展開する恐怖シーンが見事にマッチした傑作だ。怖いよ。楽しいよ。


     ○


功夫武侠スチームパンクでコミック調のTAICHI太極 ゼロ』TAICHI太極 ヒーロー』(共にスティーブン・フォン監督、2012)は、サモ・ハン・キンポー演出による殺陣、日本語吹替え版の遊び心、ヒロイン玉娘(ユーニャン)役のアンジェラベイビーの美しさが格別で、とってもキュートなり。


     ○


オリエント急行殺人事件ケネス・ブラナー監督、2017)は、画作りや演出、施されたアレンジまで、まさに“いま”作られ、観られる作品として見事な再映画化だ。またラスト、ブラナー自身が作詞した本作の主題歌「Never Forget」(ミシェル・ファイファー)には、やられた。あんなん涙腺決壊するやろ。例によって字幕がない*1のが悔やまれる。


     ○


哭声/コクソン(ナ・ホンジン監督、2016)は、これでもかとツイストにツイストを重ねて、あの『セブン』(デヴィッド・フィンチャー監督、1995)の文字どおり7倍以上の観念世界へ突入するあたり、奇妙奇天烈摩訶不思議奇想天外四捨五入出前迅速落書無用な趣でタハーッとなるので、マジ必見だ。


     ○


スター・ウォーズ/最後のジェダイライアン・ジョンソン監督、2017)は、とにかく「よくやった!」ということに尽きる。ジョンソン監督の作家性が色濃い本作は、たしかに破戒的ではあるが、だからこそ「スター・ウォーズ」への原点回帰と同時に次世代への継承とが完全に果たされた、じつに解放的な一作となった。

*1:ので、なんとなく和訳してみた(検索しても出なかったし):  お家に、私のそばに帰ってらっしゃい。さあ笑って。「うん」と頷いて。一緒にダンスを踊りましょう。  とっておきのニコニコ顔をもって見せて。そして、優しく抱きしめてちょうだい。  お家に帰ってきてくれる? 私のもとに戻ってきてくれる? 愛しいあなた。  私たちは忘れない。私たちの心の中に、あなたはずっと生き続ける。だから安心して。  太陽がまぶしく照らす夏の毎日は、きっと一生の思い出。凍える冬を待つ暗い11月には、ぎゅっと私を抱きしめて。  ほしいものや願い事、将来の夢を、全部私に聞かせてくれる?   いつかお家に帰ってきたときに。私のもとに戻ってきたときに。愛しいあなた。  悲しいことがあったって、明日には忘れられる。困ったときには助けてあげる。愛と優しさを胸に、みんな、あなたを待ってるからね。私たちはずっと忘れない。お帰りなさい、愛しいあなた。