kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

与謝野馨と「神」

与謝野馨がまたやらかしたらしいが、昨日は疲れていて書く気もしなかったよ。
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011052000323

福島原発事故は「神の仕業」=東電の責任否定−与謝野経財相


 与謝野馨経済財政担当相は20日の閣議後会見で、東京電力福島第1原発事故は「神様の仕業としか説明できない」と述べた。同原発津波対策に関しても「人間としては最高の知恵を働かせたと思っている」と語り、東電に事故の賠償責任を負わせるのは不当だとの考えを重ねて強調した。
 今回の原発事故をめぐっては、安全対策の不備や人災だとの指摘が国内外から出ている。「最高の人知」や「神による異常な自然現象」という論理で東電を徹底擁護する主張には、「原発は安全」と説明されてきた地元住民らからも批判が出そうだ。(2011/05/20-11:12)


誰もが石原慎太郎の「天罰」発言を連想したと思うが、与謝野の官僚罷免を求める声が、ネットはともかく政治やマスコミから全然上がってこない。30年前だったら、一発で閣僚辞任に追い込まれた発言だ。上記は時事通信のほか産経新聞が取り上げているが、これを問題視して騒ぎ立てないだけでも、毎日新聞朝日新聞の「脱原発」も本物とは言えない。単に読売が原発推進の「本家本丸」だから、商売目的で「脱原発」を気取っているに過ぎないのではないかと勘ぐってしまう。


ところで、与謝野と「神」に関しては、過去にこんなことがあった。
http://www.47news.jp/CN/200604/CN2006041101000577.html

「神の啓示だから正しい」 竹中氏、与謝野氏に応酬


 竹中平蔵総務相は11日の閣議後の記者会見で、与謝野馨経済財政担当相が今月7日、消費税率引き上げ幅をめぐる竹中氏の発言を「神の啓示があったのではないか」と皮肉交じりに批判したことに対し、「うまいこと言うが、神の啓示だから正しいんじゃないですか」と応酬した。竹中氏は、経済財政諮問会議などで社会保障費と公務員人件費を過去4年と同じ傾向で推移させることを前提に「消費税率は3%引き上げでいい」と主張していた。与謝野氏の発言は、竹中氏の試算の前提条件に懐疑的な見方を示したものとみられる。

2006/04/11 02:00 【共同通信


これは小泉政権末期の話。竹中平蔵の「消費税の上げ幅は3%でいい」という発言に、「それでは上げ幅が足りない」と与謝野が批判したものだ。


この与謝野馨という男だが、マスコミに「政策通」と祭り上げられている。しかしその実体はどうか。


たとえば、与謝野得意の「経済学」は、自ら「耳学問」だと認めている。以下、与謝野の自著『民主党が日本経済を滅ぼす』より*1

 私が本当に気合を入れて読んだ経済の書物は、一冊しかない。それは安定成長論者で日銀理事を務められた吉野俊彦さんが書いた『資本の自由化と金融』(岩波新書)だ。大学を卒業してそれほど間がない時期に読んだような記憶があるが、突き詰めれば、お金というものは金利の低いほうから高いほうに流れる、それだけ覚えておけばいい、という理論だった印象がある。

 一九九八年には、ジョセフ・スティグリッツコロンビア大学教授の経済学の教科書を原書で買った。「俺も経済の専門家になろうじゃないか」などと一瞬、考えたのだが、私は不思議なことに、こうした大著を買って読もうとすると、たいてい重要な役職に就いて時間がなくなってしまう。この時も、十ページも読まないうちに通産大臣になってしまった。だから『ロンドン・エコノミスト』などはずっと継続的に読んでいるけれど、私の経済学はほとんど耳学問と言って差し支えない。


また、与謝野が日本原子力発電時代に入社したいきさつ*2

ろくろく勉強もしていませんから、役所はとても無理でした。しかし、ちょうど高度成長期の真っ最中で、民間会社ならどこにでも受入れ口はあったのです。
そうなるとまた迷うのが悪い癖で、家に帰った折、母にそう話したところ、
「私が入っている大正会の集まりに、中曽根さんという議員がよく来る。あの人の話は面白そうだから、一度聞いてみたらどう」
といいます。
そこで、夏休みに中曽根さんの事務所を訪ねました。今から26年前の話ですから、まだ中曽根さんも42、3歳の国会議員。しかし若手ではかなりの有望株で、すでに大臣も経験されていました。
中曽根さんの事務所を訪ねてお話を伺ったところ、「これからは原子力が面白い。ぜひそちらのほうに進んだらどうだ。場合によったら俺が紹介してもいい」
と言って下さいました。日本原子力発電というパイオニアの会社があって、これからなかなか面白い仕事をしていくところだ、と言うのです。
しかし、そのころの私は鼻っ柱が強く、なにも就職を頼みに来たんじゃない、ご意見をうけたまわりにきたのだ、という生意気な態度だったと思います。


なんというか、与謝野馨とは驚くほど天真爛漫な人物だ。基本的に与謝野はバカだから、財務官僚にとってこれほど扱いやすい人間はいなかったに違いない。財務官僚に忠実だからこそ、官僚やマスコミに「政策通」と祭り上げられてきた。真実は、「『与謝野晶子の孫』だから許された(というよりまかり通った)人生」に過ぎないのだが、少し前まで世襲天国だった自民党政権では、それが当たり前だった。これでは、手八丁口八丁とはいえ自力で出世した竹中平蔵の方がまだマシと思えるほどだ。


こんな人物にころっと騙されて閣僚に取り込んだ菅直人の罪は重いが、与謝野罷免の圧力さえかけられない「脱原発」言論の弱さには頭痛がする。民主党自民党の政局狙いの連中に期待する、小沢信者に代表されるバカが多い現状ではどうしようもないけど。そもそもなぜ与謝野の閣僚罷免要求を自民党も小沢一派も出さないかというと、自民党のみならず小沢一郎も本心では「原発推進論者」だからではないのか。

飯田哲也の「脱原発」インタビュー記事に自社の世論調査のグラフを載せられない朝日新聞の赤っ恥

3年前には元ヤクルトの野球選手と間違えられるならまだしも、名前を知っている人も少なかったであろう飯田哲也(てつなり)が、今やテレビに新聞に引っ張りだこで、今朝もNHK朝日新聞に登場した。

ここでは落ち穂拾いを。朝日新聞飯田哲也インタビューの記事で、聞き手の宇野重視が、マスコミの世論調査で「原発を減らすべき」という意見が急増していると指摘し、紙面にグラフも出ているのだが、なぜか共同通信と読売新聞のデータしか出ていない。

それもそのはず、朝日が今月行った世論調査では、原発を減らすべきか否かを問わず、原発を使うことの是非を問う設問に切り替え、意図してかどうかは知らないが、「脱原発」の世論が増えていることを事実上隠蔽していたからだ。

だから朝日は自社の世論調査のグラフを載せることができなかった。自業自得だが、とんだ「赤っ恥」である。

大規模停電のリスクは原発が最大

NHKの「週刊ニュース深読み」で、エネルギー政策の議論をやっていたが、議論を行う4人のうち、飯田哲也を除く3人が原発推進という人選がNHKのスタンスをよく表していた。

原発推進派の主張で特に笑ったのは2点。一つはいまだに「原発は低コスト」と主張していたこと。そんな嘘はとっくに化けの皮がはがれたものとばかり思っていたが、原発推進勢力の面の皮は、人間どころかどんな動物と比較しても厚いらしい。

原発のコストについては、たとえば「きまぐれな日々」にTBいただいた下記記事を参照。
ポスト・フクシマ 4: 反戦塾


もう一つ、自然エネルギーは変動が激しくて停電の原因になるというのだが、これは飯田哲也が笑いながら言っていた通り、今回の東電原発事故で、もっとも大規模停電のリスクが高いのが原発であることが立証された。飯田氏が反論する前に、私も直ちに「大規模停電を起こした原発を推進した人間がいったい何を言ってるんだ」と、テレビを見ながら爆笑していたところだった。

飯田氏は他にも、4年前の柏崎刈羽原発事故の件や、2003年の東電原発停止の例を挙げていた。これに対して原発推進論者の諸葛宗男が出した反例は、15年ほど前の神奈川県の気候急変に伴う停電だというのだが、ネットで調べても何も出てこない。出てくるのは24年前、1987年7月23日の首都圏大停電だが、突然の気候の急変ではなく、猛暑の影響ということになっている。

やはり、二、三十年遡っても、原発ほど大規模停電のリスクの大きな発電はないということになる。

こりゃダメだ! 鳩山由紀夫も亀井静香も「原発推進勢力」。平沼赳夫の「地下原発推進議連」に参加だって。お前ら自身が地下に潜れ

asahi.com(朝日新聞社):原発の地下建設推進、議連発足へ 与野党党首ら超党派 - 東日本大震災

原発の地下建設推進、議連発足へ 与野党党首ら超党派

2011年5月21日0時59分


 4人の首相経験者や与野党党首が顧問に名を連ねる「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が31日に発足する。表向きは勉強会だが、名前を連ねるベテランの顔ぶれから、大連立や政界再編に向けた布石との臆測も呼びそうだ。

 議連の顧問には民主党鳩山由紀夫氏、羽田孜氏、自民党森喜朗氏、安倍晋三氏の首相経験者のほか、谷垣禎一総裁、国民新党亀井静香代表らが名を連ねた。たちあがれ日本平沼赳夫代表が会長に就いた。

 地下式原発は地下に建設される原発。事故の際に容易に地下に封じ込められる利点があるという。三木内閣当時に検討が始まり、1991年に自民党内に勉強会が発足していた。


これは、4月26日付の朝日新聞に、平沼赳夫を会長として発足しながら長年休眠していた勉強会が、(まるで墓場から復活したように)再開されたと報じられた件の発展形だろう。

鳩山由、羽田、森、安倍、谷垣、亀井、平沼と、揃いに揃って「終わった」政治家7人が名を連ねている。「原発推進7人衆」とでも呼ぼうか。

お前ら自身が地下に潜れと言いたい。墓場の匂いのする政治家に用はない。

元東電副社長にして元自民党参院議員・加納時男の呆れたトンデモ発言。これだから自公政権に戻すわけにはいかない。もちろん小沢信者は論外

「きまぐれな日々」にはよく面白いコメントがくるが、無記名氏による下記のコメントは特に傑作だった。徳島県の人からのコメントだ。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1183.html#comment12044

他人の政治主張を「右翼」、他人を「凡庸」、他人の主張を「滑稽」と罵倒して喧嘩を売り歩くような人が「反原発の世論を醸成」って馬鹿は休み休み言って下さいな。

原発の主張を広げるためには、原発推進派の人を取り込んでいく必要もあるというのに、その原発推進派の人を侮辱するようなマネをする貴方こそ、まさに無能、凡庸の類と言えます。本当に、貴方は反原発を主流にしたいと望んでいるのでしょうか?

2011.05.21 02:51 URL | #mQop/nM. [ 編集 ]


私が「凡庸」、「滑稽」と書いたのは、ともに加納時男を指している。このコメント主は、よほど加納をバカにした私の文章がお気に召さなかったらしい。


加納は、安倍政権時代にこんな呆れたことを言っている。同じブログ記事に北海道在住のshuueiさんからいただいたコメントより。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1183.html#comment12045

「例えばどんなビラがこの町長選でまかれたのか。高温高圧でいつ爆発事故が起こるかもしれません、これは高レベル廃棄物のことなんですが、高温高圧で自然爆発、こんなことがあるのかどうかというのも非常に我々から見ると不思議な表現であります。それからまた、地球歴史上最大規模の核暴走事故が起きる可能性があると、こういうビラを書いたその人が町長に当選したわけであります。」
これは、加納時夫が高知県東洋町の町長を追及した発言です(参議院 経済産業委員会 平成19年6月5日)。また、この日の経済産業委員会では、甘利明原子力発電を「魔法のツール」などと絶賛する発言も続きます。反原発の声の一方で、原発政策が国策として進められていたことを今更ながら痛感します。

2011.05.21 05:54 URL | shuuei #- [ 編集 ]


これは、高レベル放射性廃棄物の処分場建設が争点になった2007年の高知県東洋町長選挙で当選した沢山保太郎東洋町長(当時。今年の町長選で落選)を批判した加納の、国会における発言である。当時の総理大臣はあの安倍晋三甘利明安倍内閣経産相を務め、先日「原発を守る」議連を立ち上げた人物だ。


金子勝Twitterより。
http://twitter.com/#!/masaru_kaneko/status/71317703679422464

政治は複雑…。菅政権が東電責任論を強め、原子力依存の見直し、電力改革に傾斜するにつれ、慌てて自民・公明両党は菅首相不信任決議を急いでいます。特に自民党は東電から政治献金をもらい続け原発推進政策だった。東電救済、電力改革潰し?不信任出すなら、まず謝罪と反省をし改革案を示すべき!

日頃菅政権に批判的な金子勝も、今は菅政権継続やむなし、自公政権に戻ったらもっと悪くなると見ているようだ。私も同感だ。金子氏は、「不信任出すなら、まず謝罪と反省をし改革案を示すべき!」と言っているが、この批判は小沢一郎に対しても当てはまる。


http://twitter.com/#!/masaru_kaneko/status/71617562282164225

エネルギー計画の見直し、発電・送電の分離、保安院見直し等が俎上に上れば、過去の自公政権原子力行政の問題点が露呈します。東電はデータ隠しをできても、少なくとも国会議事録は隠せません。だから自公は菅政権打倒なのです。もちろん、菅首相が事故調査委から脱原発派を排除したら打倒です。

要するに、菅直人枝野幸男に余計なことをされたらたまったものではないから、自公も必死なのだ。これだから、絶対に自公に政権を戻してはならない。


http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20110521 で取り上げられている西岡武夫衆院に対する内閣不信任案提出の督促も、当然自公と同じ動機に基づいていると考えるべきだ。ブログ主が

西岡氏が原発推進勢力の読売新聞に寄稿し、読売が社説で「反菅」を煽る位ですから、見事なまでの共犯関係と言えます。

と書く通りである。西岡武夫小沢一郎が目指すのは、「自自公政権」の復活にほかならない。


そして、まんまと西岡武夫の罠にはまってしまう小沢信者とは、なんと愚かな人たちなのだろうか。

安倍晋三がメルマガで「菅首相の『海水注入の指示』は全くのでっち上げ」と指摘。自ら「偽メール事件」の再来を期す安倍ちゃんを小沢信者は応援してやれよ

これには吹いた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110521/plc11052100440001-n1.htm

震災翌日の原子炉海水注入 首相の一言で1時間中断
2011.5.21 00:42


 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発1号機に関し、3月12日に東電は原子炉への海水注入を開始したにもかかわらず菅直人首相が「聞いていない」と激怒したとの情報が入り、約1時間中断したことが20日、政界関係者らの話で分かった。

 最近になって1号機は12日午前には全炉心溶融メルトダウン)していたとみられているが、首相の一言が被害を拡大させたとの見方が出ている。

 政府発表では3月12日午後6時、炉心冷却に向け真水に代え海水を注入するとの「首相指示」が出た。だが、政府筋によると原子力安全委員会の班目春樹委員長が首相に海水注入で再臨界が起きる可能性を指摘、いったん指示を見送った。

 ところが、東電は現場の判断で同7時4分に海水注入を始めた。これを聞いた首相が激怒したとの情報が入った。東電側は首相の意向を受けてから判断すべきだとして、同7時25分に海水注入を停止した。その後海水注入でも再臨界の問題がないことが分かった。同8時20分に再臨界を防ぐホウ酸を混ぜたうえでの注水が再開されたという。

 自民党安倍晋三元首相は20日付のメールマガジンで「『海水注入の指示』は全くのでっち上げ」と指摘。「首相は間違った判断と嘘について国民に謝罪し直ちに辞任すべき」と断じた。これに対し、枝野幸男官房長官は20日夜「安倍氏の発言が偽メール事件にならなければいいが」と牽制(けんせい)。首相周辺も「激怒はしていない。安全を確認しただけだ」と強調した。


いやあ笑った笑った。偽メール事件は犯人が不明のままだったけど、今回は安倍が堂々と名前を出して発信元かよ、ってね。


もっとも安倍程度の知能レベルでこんな謀略を思いつくはずがない。同様の報道をしている読売新聞には、安倍の名前などない。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110520-OYT1T01217.htm

首相の意向で海水注入中断…震災翌日に55分間


 東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災直後に行われていた海水注入が、菅首相の意向により、約55分間にわたって中断されていたことが20日、分かった。

 海水を注入した場合に原子炉内で再臨界が起きるのではないかと首相が心配したことが理由だと政府関係者は説明している。

 臨界はウランの核分裂が次々に起きている状態。原子炉内での臨界には水が必要だが、1号機は大震災直後に制御棒が挿入され、水があっても臨界にはなりにくい状態だった。

 東電が16日に発表した資料によると、1号機の原子炉への海水注入は震災翌日の3月12日の午後7時4分に開始された。それ以前に注入していた淡水が足りなくなったため、東電が実施を決めた。

 複数の政府関係者によると、東電から淡水から海水への注入に切り替える方針について事前報告を受けた菅首相は、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長に「海水を注入した場合、再臨界の危険はないか」と質問した。班目氏が「あり得る」と返答したため、首相は同12日午後6時に原子力安全委と経済産業省原子力安全・保安院に対し、海水注入による再臨界の可能性について詳しく検討するよう指示。併せて福島第一原発から半径20キロ・メートルの住民に避難指示を出した。

 首相が海水注入について懸念を表明したことを踏まえ、東電は海水注入から約20分後の午後7時25分にいったん注入を中止。その後、原子力安全委から同40分に「海水注入による再臨界の心配はない」と首相へ報告があったため、首相は同55分に海江田経済産業相に対し海水注入を指示。海江田氏の指示を受けた東電は午後8時20分に注入を再開した。その結果、海水注入は約55分間、中断されたという。
(2011年5月21日08時11分 読売新聞)


あほらしいからこれまで書かなかったが、東工大の応用物理に原子力工学の研究室などなく、菅直人原子力工学の専門家でもなんでもない。その菅直人が仮に原子力の専門家である班目春樹に「再臨界の危険はないか」と聞いたのが真実であるとしても、それに対して「あり得る」という返答を受けたら海水注入の一時中断を指示することなど当たり前ではないか。

もし、専門家が「再臨界があり得る」と言っているにもかかわらず、それでも「海水注入を続けよ」という指示を出したとしたら、その方がよほど恐ろしい。しかも、産経も読売も認めるように、原子力委員会からの「海水注入による再臨界の心配はない」という報告を受けて、菅直人はすぐに海水注入を指示したというではないか。その判断には全く問題はない。

産経や読売の記事を読んで思ったことは、「ああ、こいつらは菅直人のイメージを下げる記事だったら、どんなハッタリでもヨタ記事でも平気で書くんだろうな」ということだ。安倍がメルマガに書いたという内容といい、産経や読売の記事といい、正気の人間の手になるとは到底思えないしろものだが、そこまで原発推進勢力が追いつめられている証左なのだろう。

そういう原発推進勢力の妄動に手を貸すなどナンセンスだとみんな思っているから、自民党小沢一郎らの内閣不信任案提出の策動はうまく進まないのだし、しまいには枝野幸男に「安倍氏の発言が偽メール事件にならなければいいが」と皮肉られる始末だ。

思い出せば、あの「偽メール事件」で一番得をしたのは安倍晋三だった。あの当時、「ライブドア投資事業組合にかかわった政治家」として、当時民主党幹事長だった鳩山由紀夫が、NHKの「日曜討論」で安倍晋三の実名を暴露したこともあったのだ*1。「偽メール事件」はその週の後半に起きた。私は、安倍晋三がメルマガに何やら怪しげなことを書いたと知って、「そういえばライブドア事件の再検証でもやったらどうだ」と思ってしまった。「きっこの日記」や「世に倦む日日」が一時ご執心だった故野口英昭氏の変死事件を今でも思い出す人などほとんどいないだろう。

ところで、今では安倍晋三小沢一郎の利害は一致する。ここは一つ、小沢信者は安倍晋三を全力で応援してやったらどうだろうか。

*1:2006年2月12日放送