認知症ケアにおいて、回想法は効果的な方法の一つである。回想法とは、昔の写真や音楽、よく使っていた物などを用いて、過去の記憶を思い出し語り合い、精神的な安定や認知機能の維持・向上を目指す心理療法のことだ。回想法は、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏によって提唱された。認知症の方は、最近の出来事を覚えることが難しい一方で、過去の記憶は比較的保たれていることが多い。この特性に着目し、昔の記憶を呼び起こすことで脳に刺激を与え、認知症の進行を遅らせたり、症状を和らげたりする効果が期待できる。懐かしい写真を見せながら、「これはどこで撮った写真ですか」「この時どんなことがありましたか」と質…