ギリシャ悲劇の最高傑作と名高いソフォクレスの作品。 エディプス・コンプレックスの元ネタ。
エディプス・コンプレックス
公演/ 東京 2004年5月17日(月)〜6月13日(日) Bunkamuraシアターコクーン 福岡 2004年6月18日(金)〜6月21日(月) メルパルクホール福岡 アテネ 2004年7月1日(木)〜7月3日(土) ヘロデス・アティコス劇場
演出/蜷川幸雄 音楽/東儀秀樹 出演/野村萬斎 麻実れい
福田恒存の訳で『オイディプス王』を二度読んだ。それで思ったことを書く。 『オイディプス王』は数で言えば素数である。つまり分解というものができない。むしろ他のさまざまな合成数をかたどっていく素と言えるべき作品だ。だからこの作品そのものを細かく論じようとしてもあまり意味がない。細切りにして一部分を取り上げて、これにはこういう働きがある、というようなことが言いにくいのである。この作品はまさに「原型」にほかならない。 それでも僕は頑張って分かったことをここに述べていこう。 主人公は雄弁である。彼は序盤で与えられた謎を解こうとみずから前向きな姿勢をとってみせるが、それがすでに悲劇的に皮肉である。劇の筋を…
(イキウメ じゃないけれど)『無駄な抵抗』の予習・復習に。三浦のりょんくん主演『オイディプス王』浅野雅博さん出てます。 12月のNHK プレミアムステージは、<前半>ソポクレス作、石丸さち子・演出「オイディプス王」。<後半>井上ひさし・作、小川絵梨子・演出「キネマの天地」のアンコール放送。 【BSP4P】(日)23:20~、【BS1】(月)0:00~ www.nhk.jp パルテノン多摩『オイディプス王』★★★★ magnoliarida.hatenablog.com 「キネマの天地」も素晴らしかったからぜひ。 人を思うちから 其の参『キネマの天地』★★★★★【渡辺祥子のシネマ温故知新】 プレ…
パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念 ギリシャ悲劇『オイディプス王』観劇。 初めてのパルテノン多摩 大ホール。すごくいい劇場でした。O列だったので前方後方はわからないけれど、高低差がかなりあるから前の人の頭のストレスない。天井の高さをいかした『オイディプス王の』美術、素敵でした。トイレもたくさんあってよかった。ただ、観劇客のためのレストランやカフェがほしい。お昼食べに駅方面に戻らなければならなかった。 オイディプスのりょんくん(三浦涼介)が圧巻。愛情深さからの絶望、心の叫び、強さ、素晴らしかった。だからカーテンコールのいつもの可愛い笑顔にほっと…。ただオイディプスのサンダルがO列からだ…
野村萬斎の「オイディプス王」のDVDを見た(随想録―33) 狂言師、野村萬斎は天才といっても良いだろう。本業をベースにして、あらゆる「舞台」の可能性を探るスタンスは清々しい。そして、以前から観たかった「オイディプス王」DVDを安く(半額で)入手できたので、鑑賞した。野村に加え、麻実れい、吉田鋼太郎、山谷初男などの実力派俳優が脇を固め、間然とすることのない2時間半だった。(ちなみに演出は蜷川幸雄、音楽は東儀秀樹。) (アテネ公演をしたそうだ。) そもそも、「オイディプス王」と言うのは、ギリシャ悲劇の最高峰であり、シェイクスピアの4大悲劇も軽く凌駕する、まさしく人類の宝である。その詳しい内容は、下…
以前紹介した本「父が娘に語る経済の話」。 この中で、とーっても共感した話があったので紹介します。 投資とか暗号資産?今?マジ暗黒って感じです。
ありがたいことに。 今回も、ボーナスが出るそうです。 続けていてよかったなぁと思える瞬間の1つですね、これも。 仕事内容に飽きること自体は屡々あれど← ……いやぁ、達成感が……あまりないのですよ← やるべきことを淡々と行っているだけなので、ないのです。 しかしながら、自身の達成感とは関係なしに。 公的に認められている対価を受け取ることができると言うのもまた、乙なモノですし。 これはこれで、よろしいとしようかと。 ──先立つモノについては、あるに越したことありませんし。 嗚呼。 それにしても、です。 これから、何が変わり。 何が起こるのかくらいは──ちょっとだけ、楽しみにしてもいいのかもしれませ…
場面 テバイを離れ、一人荒野で生きるポリュネイス。彼はすでに威厳ある人の暮らしを捨て、汚れた一族の呪いを引き受け、目についたものを手当たりしだいに食っていた。そこへ神秘主義者が現れてポリュネイスの有様に惚れ込む。 ポリュネイス 俺は腹が減っている。パンの味などもう忘れた。そもそも味とは何だったか。腹を満たすことこそが俺の喜び。大地は尽きることのないごちそうだ。葦は別腹さ。 ポリュネイスは犬のように大地を食らい、時折葦をつまむ。 そこへ神秘主義者が大声で歌いながら現れる 神秘主義者 おお、回る回る。至高のあなたを見習って。ああ、回れ回れ。至高のあなたに従うならば。 ポリュネイス ああ、遠い記憶が…
月刊文芸誌『南北』(1967年4月号) 渋谷が芸術・文化の発信地ですってェ? では申しましょう。今は昔の物語。 渋谷駅から神宮通りを北上して、右に大盛堂書店の看板を眼にしながら左折すると、公園通りに入る。渋谷公会堂へと続くなだらかな登り坂で、街灯すらなく、陽暮れれば薄暗くなる道だった。途中左手に一軒だけ、照明を点す店があった。喫茶店・渋谷ジローだ。 そこで山崎正和潤色によるソフォクレス『オイディプス王』が上演された。紅茶を喫みながら小劇場演劇を鑑賞する、という試みである。 夜九時開演。催したのは劇団俳優小劇場(劇団俳小と略称されていた)による「シアター9」なる企画で、早野寿郎演出、主演は小山田…
一 二様の声 『仮面の告白』(一九四九昭24・7、河出書房)の中には二様の声が響いている。それは〈まだわからなかつた〉という声と、〈理解しはじめてゐた〉という声である。では、何が〈わからなかつた〉というのか? ――むろん〈異常性〉が、すなわち自分が「倒錯者」(第二章)であるということが、である。ここでは、現在の「私」が過去の己れの行状を〈異常性〉の有無について逐一検証し、さらに、その時々における自覚の度合いをも問題としながら語るのだ、と見えるのだ。いわば、それが『仮面の告白』における「告白」の基本的な姿勢であるかのように。すなわち、二様の声は、あたかも「告白」と称する路線に沿って立てられた信号…