上巻 首都留学から決起前夜まで。ミクロな展開に終始していて物語に大きな動きはなく、世界観とキャラクターの説明に紙幅を割いている。『演義』でいえば桃園の誓いまでかな。 時代柄仕方ないんだけど例えば楚漢戦争期や三国志なんかと比べて同族の人間が多数登場する(特に劉氏や鄧氏)から馴染みのない人は混乱してしまうかもしれない。留学中に商売に手を出す場面は、史実をそう調理したかとちょっと感心した。現代人からすると「いやいや……」となってしまう緯書への関心はある程度処理しとかなくちゃならないのだから、儒教へのある種の失望としたのは上手いと思う。 細かい所をいくつか。P34の目を瞑って声だけで人となりを判断する…